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『君は放課後インソムニア』池田千尋監督 フィクションとリアリティのバランスをどこに置くか【Director’s Interview Vol.327】

『君は放課後インソムニア』池田千尋監督 フィクションとリアリティのバランスをどこに置くか【Director’s Interview Vol.327】

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フィクションとリアリティのバランス



Q:漫画が原作ということで、キャラクター造形には注力されたのでしょうか。


池田:原作のビジュアルには説得力を感じていたので、そこの作り込みはある程度意識しました。たとえば伊咲の友人の穴水は、ソフトボール部で毎日外で練習しているので、日焼けのメイクをしましょうとか、そういったディテールは作り込んでいます。でもその一方で、皆に「あなたの役はどういう人間なのか、考えて書き出してみて」と宿題を出したんです。漫画の中で、伊咲と丸太については様々な感情と場面が描かれていますが、ほかのキャラクターたちは想像で補う必要がある。そこにはあなた自身を織り込んでいいんだよと。自分なりの穴水や、蟹川、野々、受川(全て伊咲と丸太の友人たち)を考えてみて欲しいと。原作のキャラクターの着ぐるみを着るのではなく、自分の肉体を通してそのキャラクターを生み出そうと伝えました。


また、撮影前には、皆を集めて一緒に過ごす時間をとりました。これからクラスメイトになるので、お互いに知り合ってもらえるといいなと。お芝居するのではなく、用意スタートからカットまでの間、その役として生きてもらう。それが出来るための“場作り”をずっと心がけていましたね。



『君は放課後インソムニア』©オジロマコト・小学館/映画「君ソム」製作委員会


Q:フィクションとリアルの塩梅が絶妙でしたが、今の話を聞いて納得しました。


池田:映画でもドラマでも、フィクションとリアリティのバランスをどこに置くか常に探ります。漫画原作、小説原作、オリジナルでそれぞれ程度も違いますし、作品の色によっても変わってくる。今回の原作は漫画的表現やキャラクターを置きながら、なんでもない日常をさりげなく生っぽい感触で描いているのが特徴で、そのバランスを映画でも生かすために、フィクションとリアルのバランスをどこに置くか、ずっと探っていました。そこがうまく伝わったのであれば嬉しいです。




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