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『君は放課後インソムニア』池田千尋監督 フィクションとリアリティのバランスをどこに置くか【Director’s Interview Vol.327】

『君は放課後インソムニア』池田千尋監督 フィクションとリアリティのバランスをどこに置くか【Director’s Interview Vol.327】

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夕陽をバックにたたずむ森七菜と奥平大兼。このメインビジュアルに惹かれてしまった人は多いのではないだろうか。『君は放課後インソムニア』は、「週刊ビッグコミックスピリッツ」で連載中の人気青春漫画の映画化。本作は、漫画原作ということを忘れさせるほどのリアリティを持ちつつも、フィクションとしての面白さを損なうことは決してない。漫画としてのフィクションと映画としてのリアリティを奇跡的なバランスで両立させ、前述のメインビジュアルはその片鱗を感じさせる。



『君は放課後インソムニア』©オジロマコト・小学館/映画「君ソム」製作委員会


本作を手掛けたのは、テレビドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」や「祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録」などで演出を手掛けた池田千尋。池田監督はこの奇跡的なバランスをどう実現させたのか、話を伺った。



『君は放課後インソムニア』あらすじ

石川県七尾市に住む高校一年生・中見丸太(なかみ がんた / 演:奥平大兼)は、不眠症のことを父親の陸に相談することもできず、ひとり憂鬱で孤独な日々を送っていた。そんなある日丸太は、学校で使われていない天文台の中で、偶然にも同じ悩みを持つクラスメートの曲伊咲(まがり いさき / 演:森七菜)と出会い、その秘密を共有することになる。天文台は、不眠症に悩む二人にとっての心の平穏を保てる大切な場所となっていたが、ひょんなことから勝手に天文台を使っていたことがバレてしまう。だが天文台を諦めきれない二人は、その天文台を正式に使用するために、天文部顧問の倉敷先生、天文部OGの白丸先輩、そしてクラスメイトたちの協力のもと、休部となっている天文部の復活を決意するが――。


Index


「やります」ではなく「やってみます」



Q:伊咲(いさき)と丸太(がんた)を演じた森七菜さんと奥平大兼さんの存在感が圧倒的でした。キャスティングから撮影までお二人とはどんなことを話されましたか。


池田:森七菜ちゃんのお芝居を以前から観ていて、その彩りの豊かさや跳ねていく可能性を感じていました。この作品では彼女の可能性をどれだけ膨らませられるかが大事だなと。加えて、七菜ちゃんに対して奥平くんがどう反応するかも楽しみで、そこを二人で楽しみながらやっていこうと伝えました。



『君は放課後インソムニア』©オジロマコト・小学館/映画「君ソム」製作委員会


奥平くんは『MOTHER マザー』(20)の印象が強かったのですが、実際に会ってみると、いい意味で普通の男の子の感じがあって。「ちょっと意外だった」と本人に伝えると、「僕、普通の役をあまりやってないんです」と返ってきた。それで「普通を演じるのって多分いちばん難しいよね。今回はその普通をやってみようよ」と互いに話して現場に入りました。撮影中は、もうその辺にいる子にしか見えなかったですね。丸太にしか見えないんです。メガネをかけたらすぐ丸太、みたいな感じでした(笑)。


また、撮影では常に「私はこういう方向で考えているけど、実際の役を生きているあなたたちはどう?」と話していました。それを受けた二人は「わかりました、やります」とは言わず、「やってみます」と言ってくれるんです。決め込んでお芝居をするのではなく、実際にやってみて初めてわかることもある。二人ともそれを最初から分かっていました。




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