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『1秒先の彼』山下敦弘監督 経験値が教えてくれるもの【Director’s Interview Vol.329】

『1秒先の彼』山下敦弘監督 経験値が教えてくれるもの【Director’s Interview Vol.329】

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台湾ニューシネマの異端児チェン・ユーシュン監督が生み出した『1秒先の彼女』(20)。この珠玉の恋物語がこの度日本でリメイク。タイトルはなんと『1秒先の彼』!しかも手掛けたのは、監督:山下敦弘×脚本:宮藤官九郎というありそうでなかった奇跡のようなコンビ。これでは面白くならないはずがない!自身初のリメイク作に挑んだ山下監督だが、その手応えはいかに…⁉︎ 宮藤官九郎とのタッグから、主演の岡田将生と清原果耶、そして舞台となった京都のことまで、山下監督にたっぷり語ってもらった。



『1秒先の彼』あらすじ

ハジメ(岡田将生)は京都の生まれ。いつも人よりワンテンポ早く、50m走ではフライング。記念写真を撮るといつもシャッターチャンスを逃してしまい、小学校、中学校、高校の卒業アルバムの写真はことごとく目を閉じている。現在、ハジメは長屋で妹の舞(片山友希)とその彼氏のミツル(しみけん)と3人で暮らしている。ハジメの職場は京都市内にある中賀茂郵便局。彼は高校を卒業して12年間、郵便の配達員だった。ついたあだ名が、『ワイルド・スピード』。度重なる信号無視とスピード違反で免許停止を食らい、それからは窓口業務だ。ハジメと同じ窓口に座るのは新人局員のエミリ(松本妃代)と小沢(伊勢志摩)。いつもふたりに「見た目は100点なのに中身が残念」と言われ、ふてくされる日々。レイカ(清原果耶)も京都の生まれ。日本海に面した漁師町の伊根町で育った。いつも人よりワンテンポ遅く、50m走では笛が鳴ってもなかなか走りださない。現在、彼女は大学7回生の25歳。アルバイトをいくつも掛け持ちし、学費を払いながらの貧乏生活だ。写真部の部室に住み込み、ひとりぼっちで夜食をとりながら、ラジオを聴いている。ある日、急停車したバスに追突した高校生を看護するハジメの姿をみて、既視感をおぼえたレイカ。郵便局でハジメの窓口にいき、胸の名札『皇』の文字を見つめる。街中で路上ミュージシャン・桜子(福室莉音)の歌声に惹かれて恋に落ちるハジメ。早速、花火大会デートの約束をするも、目覚めるとなぜか翌日に。“大切な1日”が消えてしまった…!? 秘密を握るのは、毎日郵便局にやってくるレイカらしい。ハジメは街中の写真店で、目を見開いている見覚えのない自分の写真を偶然見つけるが…。



今回は動画版インタビューも公開!あわせてお楽しみください!



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宮藤官九郎らしさのあるリメイク



Q:好きな作品をリメイクするという体験はいかがでしたか。


山下:オリジナルの台湾版がすごく面白くて素敵だったので、モチベーションとしてはやりやすかったです。ただ、リメイクは初めてだったので、どこから始めたらいいのか分からなかった。日本でも普通に置き換えられる内容だったので、どう変換をしていけばいいのか、そこが結構大変でした。宮藤官九郎さんに脚本家として入ってもらってからは、「宮藤さん書いてください!」と甘えていました(笑)。


Q:宮藤さんはどういった経緯で参加されたのでしょうか。


山下:企画段階でオリジナルをどう変換すればよいか分からなくなってしまい、プロデューサー陣が宮藤さんに依頼してくれました。宮藤さんと僕はお互い俳優として仕事をしたことはありましたが、脚本・監督いう立場では初めて。宮藤さんの脚本を自分がどう撮るのか、期待もあり楽しみでした。



『1秒先の彼』©2023『1秒先の彼』製作委員会


Q:リメイクの手法として、同じものにするのか、オリジナルを加えていくのか、その辺はどのように決まったのでしょうか。


山下:台湾版のチェン・ユーシュン監督の映画は独特で、映画全体からくる子供っぽさや無邪気さがあり、そしてたまに残酷だったりもする。監督の持つ世界観や感触をどう理解していこうかと思いましたが、(実際にリメイクを)やってみると、当然ですが僕にはないものを持っている監督なんだと分かった。それで、途中からは近づけようとするのはやめて、自分なりにどうしていこうかなとなりました。


内容としては台湾版と同じような話なのですが、宮藤さんらしさもある映画になったなと。今までにありそうでなかったタイプのリメイクで、ちょっと実験的なところもあったと思いますね。




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