©2023 PARAMOUNT PICTURES. HASBRO, TRANSFORMERS AND ALL RELATED CHARACTERS ARE TRADEMARKS OF HASBRO.©2023 HASBRO
『トランスフォーマー/ビースト覚醒』スティーブン・ケイプル・Jr監督 ロボットは呼吸するべきか? 【Director’s Interview Vol.338】
高山病と天候に苦しんだマチュピチュの撮影
Q:本作はNYのブルックリンに始まり、様々な場所でバトルが展開します。中でも世界遺産であるペルーのマチュピチュ遺跡とその周辺のシーンは、他のアクション映画とは違う斬新なインパクトを与えます。
ケイプル・Jr:あのような場所で大がかりなアクションシーンを撮るなんて、おそらくハリウッド大作では初めてだったのではないでしょうか。ジャングルなど険しい地点に重い機材を運ぶという物理的な苦労がまずひとつ。そして山頂にあるマチュピチュに辿り着くことが、もうひとつの難関でした。ペルーは高地ですから、クルー全体が少しずつ高山病になっていったのです。標高が上がるにつれ酸素が薄くなり、具合が悪くなる中で、重いカメラや照明を運ぶ作業は本当に大変でした。
Q:実際に撮影も苦労したわけですね。
ケイプル・Jr:マチュピチュの天候は変わりやすく、晴れていた場所が急に曇り、次の瞬間、全員が雲の中に入る……なんてことが、たびたび起こりました。わずか2m先の人も見えない状態になるのです。そうなると撮影が1〜2時間どころではなく、半日くらいストップします。天候と高山病という二重苦は、われわれがコントロールできないとはいえ、想像以上の困難でした。
『トランスフォーマー/ビースト覚醒』©2023 PARAMOUNT PICTURES. HASBRO, TRANSFORMERS AND ALL RELATED CHARACTERS ARE TRADEMARKS OF HASBRO.©2023 HASBRO
Q:本作のプロデューサー、ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラは、あなたの抜擢について「キャラクターを描く才能があるから」と言っていました。その評価をどのように捉えていますか?
ケイプル・Jr:もともと僕は映画を観る際に、アクションやスケール感よりもキャラクターを重視するタイプ。主人公に共感できる映画、まるで自分を観ているような映画を愛してきました。ですから監督作でも、欠点を含めた自分のアイデンティティを投影してしまうのでしょう。登場人物が物語の最後に「どうなりたいのか」をつねに考えます。本作の場合は、オプティマスプライムにその志向が反映されました。2020年以降にアメリカで起こったこと、それに対する僕らの感情を、さりげなくオプティマスの成長に重ねています。仲間を愛しつつ、本作の時点では無力な側面もあった彼が、最終的にヒーローになっていく。その過程に、僕の周囲の環境が“流れ込む”ように描いたつもりです。
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監督・脚本:スティーブン・ケイプル・Jr
オハイオ州クリーブランド出身のスティーブン・ケイプル・Jrは、今やハリウッドで最も注目される映画監督の一人となった。映画とテレビの両方で監督を務め、その特徴的なタッチと芸術的撮影方法で、複数の監督賞を受賞したほか、2018年のフォーブス「30 アンダー30」のリストにも名を連ねている。最近では、マイケル・B・ジョーダン、シルベスター・スタローン、テッサ・トンプソン主演の『クリード 炎の宿敵』(18)を監督した。「クリード」シリーズの第2弾として、ヘビー級コンテンダーのアドニス・クリードが、イワン・ドラゴの息子ヴィクトル・ドラゴと対戦している。MGMは2018年11月に本作を公開し、現在までに全世界で2億ドルを超える興行収入を記録している。
取材・文:斉藤博昭
1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。
『トランスフォーマー/ビースト覚醒』
8月4日(金)全国公開
配給:東和ピクチャーズ
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