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『オオカミの家』クリストバル・レオン & ホアキン・コシーニャ監督 フレーベル館の童話集に影響を受けたよ【Director’s Interview Vol.342】

© Diluvio & Globo Rojo Films, 2018

『オオカミの家』クリストバル・レオン & ホアキン・コシーニャ監督 フレーベル館の童話集に影響を受けたよ【Director’s Interview Vol.342】

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影響を受けたフレーベル館の童話集



Q:作品は自らの創造的・制作的欲求に基づいて作られていると思いますが、ミュージックビデオ制作やアリ・アスター監督の映画の一部分の制作など、第三者から依頼を受けて作る映像制作にはどんな思いがありますか? また、アリ・アスター監督との仕事はいかがでしたか?


レオン:もちろん自分の作品を作る方が好きですね(笑)。アリ・アスター監督との仕事は非常に勉強になったし良い経験になりました。彼の作品は私たち好みなので、たくさん吸収するものもありました。ただやはり自分たちの作品ではないので、プロセスにおいては完全に楽しかったかというと…、まぁ自分たちの作品を作っているときの方が楽しいですね(笑)。ミュージックビデオに関してはかなり自由に作らせてもらえたので、とても楽しい仕事でした。



『オオカミの家』© Diluvio & Globo Rojo Films, 2018


Q:影響を受けた、好きな映画や監督を教えて下さい。


レオン:とても長いリストになっちゃいますね(笑)。今回の映画にも影響していて一番好きなのは、デヴィッド・リンチ監督です。他には、『トップシークレット』(84)というコメディ映画が大好きです。ミシェル・ゴンドリーの『エターナル・サンシャイン』(04)も大好きで、私たち二人が影響を受けた作品ですね。


コシーニャ:好きな監督はイングマール・ベルイマンです。この人の映画で私の人生が変わったというぐらい、インパクトのある映画を作っている監督です。


レオン:映画ではありませんが、日本のフレーベル館から出版されている童話集がすごく気に入っています。今回の映画を作る際にもたくさん読みましたし、とても影響を受けました。




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監督:クリストバル・レオン & ホアキン・コシーニャ

2007年から活動をはじめた二人組のビジュアル・アーティスト。ともにチリ・カトリック大学を卒業。レオンはベルリン芸術大学とアムステルダムのDe Ateliersでも学んだ。映像作家のナイルズ・アタラーとともに、映画制作会社Diluvioを設立している。ラテンアメリカの伝統文化に深く根ざした宗教的象徴や魔術的儀式を、実験映画として新しい解釈で表現している。映画制作のために、写真、ドローイング、彫刻、ダンス、パフォーマンスなど、さまざまな技法を組み合わせている。彼らのストップモーション映画は、洗練されていない映画的言語が特徴である。張り子の人形や無邪気な絵は、映画が扱う宗教、セックス、死といった重いテーマと強いコントラストを成している。彼らは各所で受賞歴があり、また、彼らの映画はロッテルダムやロカルノなど世界中の国際映画祭で頻繁に取り上げられている。展覧会も、ラテンアメリカの美術館やビエンナーレのほかに、ロンドンのホワイトチャペル・ギャラリー、ニューヨークのグッゲンハイム美術館、ベルリンのクンストヴェルケ現代美術センター、ヴェネチア・ビエンナーレ(2013)、スイスのアート・バーゼル(2012)などで開催されている。初の長編映画『オオカミの家』は、美術館、文化センター、アートギャラリーなど、さまざまな公共の場所でのノマドワーク・イン・プロセスのインスタレーション作品として制作された。2018年の第68回ベルリン国際映画祭でプレミア上映されカリガリ映画賞を受賞、アヌシー国際アニメーション映画祭で審査員賞を受賞するなど、各国で多くの賞を受賞。2021年にはwebサイト「IGN」の歴代アニメーション映画ベスト10に選出。同年Varietyの「観るべき10人のアニメーター」にも選出された。『オオカミの家』に惚れ込んだ映画監督のアリ・アスターが製作総指揮を務めた短編『骨』は、第78回ヴェネチア国際映画祭でオリゾンティ部門最優秀短編映画賞を受賞。その後、トム・ヨークの新バンドThe Smileの2022年リリースのシングル「Thin Thing」のミュージックビデオを監督したことも話題に。さらに、2023年公開のアリ・アスターの最新作『Beau Is Afraid』では、アニメーション・パートの制作とビジュアル開発を担当。現在は、実写とアニメーションを組み合わせた次回作「Los Hiperbóreos」の撮影に取り掛かっている。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。





『オオカミの家』

8月19(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

配給:ザジフィルムズ

© Diluvio & Globo Rojo Films, 2018

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