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『BAD LANDS バッド・ランズ』原田眞人監督 原作を大胆に脚色したクライムサスペンスで描く、独立した女性像【Director’s Interview Vol.359】

『BAD LANDS バッド・ランズ』原田眞人監督 原作を大胆に脚色したクライムサスペンスで描く、独立した女性像【Director’s Interview Vol.359】

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原田流の独立した女性像



Q:今回メインキャストを女性に変換されたことで、女性の自己実現や解放というテーマも含む作品になったと思います。今までの原田作品ではあまり見られなかった方向性かと思いました。


原田:いや、『駆込み女と駆出し男』(15)もそうですが、女性が芯になっている作品はかなりあるんです。前作の『ヘルドッグス』(22)は男たちの話ですが、あの中でも松岡茉優の役は原作にない要素です。僕の映画は大体いつもどっしりとした女のキャラクターがいて、その周りを男たちがダンスしながら回っているような構造になっています。


Q:確かに『関ケ原』や『燃えよ剣』も男性群像劇の中に芯を持った女性を配置されていますね。


原田:『燃えよ剣』で、柴咲コウさんが演じたお雪という女性は原作以上に独立した女性として描いていますし、『関ケ原』での有村架純さんの役も同じ要素があります。



『BAD LANDS バッド・ランズ』©2023「BAD LANDS」製作委員会


Q:本作は独立した女性を描いてきた原田作品の最新進化系としての側面もあるのですね。


原田:進化形であって、そういった要素をさらに鋭くした作品だと思っています。


Q:女性を主人公にした原田監督の映画をもっと観てみたいですね。


原田:企画が通ればやりたい題材はありますね。最近面白いと思っているのは、小説家の宮本百合子と湯浅芳子です。湯浅芳子はロシア文学者で1927年から30年までモスクワに留学して宮本と共同生活を送っていたんです。湯浅芳子に関しては瀬戸内寂聴さんが「孤高の人」で書いていますが、若い頃の瀬戸内さんが湯浅芳子に本当に尽くすんです。この女たちのドラマが面白い。


映画化する時に湯浅芳子を演じるのは誰が一番いいか考えたら、樹木希林さんなんです。だから樹木さんが生きている間に「孤高の人」を読んでおけばよかったとすごく後悔しています。まだ形にはなっていませんが、この題材は女性映画としてやりたいと思っています。




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監督・脚本・プロデュース:原田眞人

1949年7月3日生まれ、静岡県出身。黒澤明、ハワード・ホークスといった巨匠を師と仰ぐ。1979年に、映画『さらば映画の友よ インディアンサマー』で監督デビュー。『KAMIKAZE TAXI』(95)は、フランス・ヴァレンシエンヌ冒険映画祭で准グランプリ及び監督賞を受賞。さらに映画『関ヶ原』(17)では第41回日本アカデミー賞優秀監督賞、優秀作品賞などを受賞。近年の主な作品は、映画『駆込み女と駆出し男』(15)、『日本のいちばん長い日』(15)、『検察側の罪人』(18)、『燃えよ剣』(21)、『ヘルドッグス』(22)などがあり、これまでに数多くの作品を手掛けている。



取材・文:稲垣哲也

TVディレクター。マンガや映画のクリエイターの妄執を描くドキュメンタリー企画の実現が個人的テーマ。過去に演出した番組には『劇画ゴッドファーザー マンガに革命を起こした男』(WOWOW)『たけし誕生 オイラの師匠と浅草』(NHK)『師弟物語~人生を変えた出会い~【田中将大×野村克也】』(NHK BSプレミアム)





『BAD LANDS バッド・ランズ』

9月29日(金)全国ロードショー

配給:東映/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

©2023「BAD LANDS」製作委員会

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