俳優と作り手を結びつけたインティマシーコーディネーター
Q:撮影にはインティマシーコーディネーターが入っていますが、これは佐藤さんの判断だったのでしょうか。
佐藤:はい。インティマシーコーディネーターは是非入れたいと思っていました。俳優部が現場で思っていることを言えずに、嫌な思いが残るのは絶対にやめたい。そのためにもインティマシーコーディネーターの西山ももこさんに参加していただきました。彼女は現場にものすごく理解がある人で、監督がどういうものを撮りたいかを聞いた上で、俳優部に個別にカウンセリングし、何が嫌か、どういうものがダメか、をしっかり聞いてくれて、それを擦り合わせてくれるんです。インティマシーコーディネーターが入ることで、色んな表現が規制されてしまうのでは、という心配も正直あったのですが、実際は全くそんなことはありませんでした。むしろプラスにしか働かなかったと思います。
『花腐し』©2023「花腐し」製作委員会
西山さんがキチンとヒアリングをした上で、出来ることと、出来ないことの区別をつけて、リハーサルもちゃんとやって、その中で撮り方も決めて進めるので、ものすごくスムーズに撮影できました。俳優と作り手の気持ちをしっかり結びつけてくれましたね。さらにアクションコーディネーター的なところもあって、「こういう風にした方がリアルに見えますよ」とアドバイスまでしてくれました。ものすごく頼りになりましたね。
Q:観客の皆さんへメッセージをお願いします。
佐藤:古い映画界に思いを馳せるような世代の方には痺れる内容だと思いますし、若い観客の方にも切ないラブストーリーとして響くと思います。すごく普遍的なものに仕上がっていますので、是非劇場でご覧ください。
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プロデューサー:佐藤現
1971年生まれ、大阪府出身。94年に東映ビデオに入社し、映画やテレビ番組の製作に携わる。主なプロデュース作品に『おろち』(08)、『ノン子36歳(家事手伝い)』(08)、『僕たちは世界を変えることができない。But, we wanna build a school in Cambodia.』(11)、『ふがいない僕は空を見た』(12)、『ばしゃ馬さんとビッグマウス』(13)、『花宵道中』(14)、『百円の恋』(14)、『14の夜』(16)、『ビジランテ』(17)、『犬猿』(18)、『嘘八百 京町ロワイヤル』(20)、『アンダードッグ』(20)、『雑魚どもよ、大志を抱け!』(23)など。
『百円の恋』において第34回藤本賞奨励賞、2016年エランドール賞プロデューサー奨励賞を受賞。
取材・文: 香田史生
CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。
撮影:青木一成
『花腐し』
11月10日(金)テアトル新宿ほか全国公開
配給:東映ビデオ
©2023「花腐し」製作委員会