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『隣人X -疑惑の彼女-』熊澤尚人監督 難しかったのはサスペンスとテーマのバランス【Director’s Interview Vol.375】

『隣人X -疑惑の彼女-』熊澤尚人監督 難しかったのはサスペンスとテーマのバランス【Director’s Interview Vol.375】

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作ってみたら面白い映画が生まれるかもしれない



Q:脚本・監督だけにとどまらず、ご自身で編集まで手掛けられていますが、脚本から調整された部分はありますか。


熊澤:すごく調整しています。完成した作品は脚本通りではありません。シーンが入れ替わっているところも多いし、オミット(削除)している部分もあります。撮影中に追加したりマイナーチェンジしたりもしました。その辺の微調整は現場でもしましたし、編集中もすごく気をつけました。


Q:編集は普段から自分でやるのですか。


熊澤:そうですね。岩井俊二監督が映画を初プロデュースする時、僕を監督に選んでくれて、『虹の女神 Rainbow Song』を作ったのですが、岩井さんは「編集は監督がするもの」と前から良く話されてました。岩井さんは、僕が監督になる前からお付き合いのある大先輩で、ご自身の作品は全て編集されてますし、僕も自主映画の頃から自分で編集してましたので‥‥僕の一つの実感としては、編集が分かっているからこそ、撮影現場で得をすることが多いですね。スケジュール的にどうしても難しいときは編集マンにお願いしますが、それ以外の場合は、岩井さんの教えを守ってなるべく自分で編集しています。



『隣人X -疑惑の彼女-』©2023 映画「隣人X 疑惑の彼女」製作委員会 ©パリュスあや子/講談社


Q:キャリアの初期に映画プロデュースを経験されていますが、プロデューサーから監督への転向というのは珍しいですよね。


熊澤:プロデュースといっても僕はアシスタント・プロデューサーで、色んなプロデューサーについて、プロデュースの仕事を経験させてもらいました。それこそ岩井さんの『スワロウテイル』(96)にも関わりましたが、色々と勉強させてもらいました。


Q:プロデュースを経験して監督になった、そのメリットについてお聞かせ下さい。


熊澤:プロデュースサイドの事情が分かるのは自分の中では大きな強みですね。最近は原作モノを作ることが多いので、プロデューサーが苦労する時代になっている。今回は理解度が高い素晴らしい原作者でしたが、作者によっては「一言一句変えないでくれ」という人もいます。自分はその辺の事情をよく分かっている方かなと。また、プロデュースサイドにいるときに、宣伝方針とぶつかる監督もたくさん見てきましたから(笑)、宣伝の事情もわかっているつもりです。


そういういろんな事情の中で映画は作られていくものですが、作れないよりは作れた方が断然良い。ハードルはいろいろありますが、作ってみたら面白い映画が生まれるかもしれない。そう思えるのはプロデュースサイドを見てきたからだと思います。映画って正解が無いので、プロデューサーによって作り方は違ってくるし、色んなパターンやタイプがあった方が予想外に面白くなったりもする。その方が可能性の枠が広がると思います。まぁ、でもプロデュースサイドの事情が分かる、弊害もありますけどね。予算内に収めようとしてお金の事を気にし過ぎだというのは、時々言われます(笑)。




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監督・脚本・編集:熊澤尚人

1967年、愛知県出身。大学卒業後、ポニーキャニオンに入社し、映画プロデュースに携わる。1994年、『りべらる』がPFFに入選。2004年短編『「TOKYO NOIR〜Birthday」でポルト国際映画祭最優秀監督賞を受賞。2005年自身のオリジナル脚本による『ニライカナイからの手紙』で商業監督長編デビュー。代表作は『虹の女神 Rainbow Song』(06)、『ダイブ!!』(08)、『おと・な・り』(09)、『君に届け』(10)、『近キョリ恋愛』(14)、『心が叫びたがってるんだ。』、『ユリゴコロ』(共に17)、『ごっこ』(18)、『おもいで写眞』(21)など。上野樹里とは『虹の女神 Rainbow Song』以来17年ぶり、林遣都とは『ダイブ!!』以来15年ぶりのタッグとなる。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成





『隣人X -疑惑の彼女-』

12月1日(金)新宿ピカデリーほか全国公開

配給:ハピネットファントム・スタジオ

©2023 映画「隣人X 疑惑の彼女」製作委員会 ©パリュスあや子/講談社

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