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『不死身ラヴァーズ』松居大悟監督 初期衝動みたいなものを見つめ直したかった【Director’s Interview Vol.403】

『不死身ラヴァーズ』松居大悟監督 初期衝動みたいなものを見つめ直したかった【Director’s Interview Vol.403】

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漫画を映画にすること



Q:漫画は「画」があって完成されている分、映画化が難しいと話す監督が多い気がします。松居監督はいかがでしたか。


松居:いや、難しいですよ。ある意味、正解が提示されているし、それを再現することは不可能だし、再現するぐらいなら映画にする必要はない。漫画原作を映画化したことは本作以外に三つくらいしかありませんが、その全てが、漫画でしか出来ない表現をしていることに対して面白いと思ったもの。それを映画でしか出来ない表現に変換したいし、するべきだと思うものを映画化している感じです。


Q:今回は“疾走感”の表現が難しそうですね。


松居:そうなんです。原作だと心臓がバクバクし過ぎて体が飛び出ちゃって、地面でドクドクしているような表現が面白いのですが、それは実写では出来ませんからね。


Q:漫画をどう映像化していくかは、脚本の段階で考えるのでしょうか、それとも撮影段階で考えるのでしょうか。


松居:この漫画のこのビジュアルを実写化したいと思ってやったことはないので、漫画に流れるテーマやメッセージ、魂みたいなものに胸を打たれて、それをどう視覚化していくかという作業をしています。それを脚本で書くときもあるし、脚本を書きながら「これはどうやって撮ればいいんだろう?」と思って、撮影までにスタッフと相談して考えることもある。そう考えると両方ですね。



『不死身ラヴァーズ』©2024不死身ラヴァーズ」製作委員会 ©高木ユーナ/講談社


Q:脚本に落とし込む際に大事にしたポイントなどはありましたか。


松居:原作は結構突飛な設定ですが、登場するのは今を生きる若者たち。演じてもらう上ではコスプレにならないようにと言いますか、画的に満足するものにはならないようにと考えていました。ただ疾走すれば良いということではなく、実写でやるのであれば、“迷ったり立ち止まったりしながらも走る”ということにした方が、走ることによりスピード感が出る。そういった人間の目線やため息、仕草などを含めて描こうとしていました。


Q:ビジュアルに落とし込むのが仕事だけれど、ビジュアルが先行してありつつも、そこに寄らないというのは難しいですね。


松居:そうですね。ビジュアルは寄らないけれど、原作が好きな人には絶対に応えるようにしたい。絵柄が好きな人はちょっと置いておいたとしても、原作の持つ魂やメッセージが好きな人たちに向けては作りたいですね。それでもやっぱり漫画の映画化は難しいですね。




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