プレビズを作って臨んだ実写撮影
Q:電車越しに見るシーンが臨場感があって素晴らしかったです。あのシーンは実写を撮った上で合成されたのでしょうか。
上西:そうですね。いろんな電車に乗って都内をぐるぐる回って撮りました(笑)。“生活空間越しの怪獣”というのをやりたいんです。今回は規模的に断念しましたが、もっと大きな作品で怪獣をやるなら、室内越しや屋上越しの視点を作りたいですね。
Q:戦車が来るシーンは渋谷と恵比寿の間ですよね。あれは風景だけを撮られたのでしょうか。
上西:まさにその場所です。現場では人止めをしてもらい、電車がいい具合に通るときを見計らって撮らせてもらいました。カメラを動かして撮っていますが、後でCGで合わせられるように「こういうルートで、こう撮ってください」と細かくお願いして撮っていただきました。
Q:実写部分の撮影はいかがでしたか。
上西:自分の監督作で実写を撮るは初めてだったので、事前にCG上でプレビズを作っておきました。人と建物の配置をする場合の距離など、事前に全て調べて撮影に臨んだので、撮影現場で迷うことはありませんでした。なるべく現場で困らないように、やれる準備は全てやっておきました。
Q:自衛隊の部隊が一斉射撃をするシーンがありますが、あれは実写でしょうか。CG上で人を動かすのと、実際の人に指示をするのでは勝手が違いそうですね。
上西:あれは実写ですね。人の体の動きってそれぞれ癖があるので、指示が難しかったです。あのシーンも頑張れば全部CGでいけたのですが、自分に無い引き出しはまさに人の動きだと思うので、あえて実写でトライして良かったと思います。
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Q:バトルシーンのアクション演出はどのようにされたのでしょうか。
上西:怪獣好きな人って、脳内で怪獣を戦わせるじゃないですか(笑)。そこの精度をひたすら上げていって、頭の中でバトルを構築させた段階で一旦CG上で再現するんです。その後、どこにカメラを置いたら映えるかをCG上で検証していく感じです。怪獣が組んず解れつしているラフを作って、それに対してカメラをたくさん置いて、その素材を全部並べて編集していく。だから、コンテ通りにやっていく感じではなかったですね。
Q:実写と違ってカメラアングルが無限なので、決め打ちが難しそうですね。
上西:やっていると「これいいな!」っていうアングルは大体決まってくるんです。意外と絞れますよ。