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『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』ポール・メスカル 異なるレンズを通して世界を伝えるのが俳優の役割【Actor’s Interview Vol.46】
負けず嫌いの性格で肉体改造に挑む
Q:では本作で最も過酷だったシーンはどこですか?
メスカル:僕がこだわったのは、ルシアスが英雄として成長するプロセスでした。彼は自分の意思とは関係なく英雄に祀り上げられていくからです。その意味で多くの兵士に語りかけるシーンは演じるのが難しかったですね。同様に母親であるルッシラとの再会は、ルシアスの運命の分岐点という意味で僕の演技が試されました。本作は古代ローマを描くことから、肉体の動きにも多くのルールが課せられ、その範囲内での表現が僕にとってチャレンジングでした。
Q:ルシアス役のために肉体トレーニングを積んだのですよね? 現在の姿より映画の中のあなたの方が筋骨隆々に感じられました。
メスカル:撮影前に体重を約8kg増やしました。トレーナーの指導に従って何を何時に、どれくらい食べるかを管理し、筋力トレーニングもこなしたのです。僕は人一倍負けん気が強いので、ジムへ行くたびにバーベルの重さをアップさせてましたよ(笑)。実際に体重が増えると、身体のまわりに鎧を着けたような感覚になるだけでなく、ホルモンのエンドルフィンが多く分泌され、闘争本能も上昇することを知りました。
『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』©2024 PARAMOUNT PICTURES.
Q:共演者の中では、やはりあの人の存在感が大きかったのでは?
メスカル:デンゼル(・ワシントン)のことですね(笑)。今回のキャストの誰に尋ねても同じ答えが返ってくるでしょう。デンゼルはあれだけの実績と才能を持ちながら、決して共演相手の演技を阻むようことはしません。とにかく彼と一緒にカメラの前に立つだけで光栄でした。もしできることなら演劇学校に通っていた頃にタイムトリップして過去の自分に「お前は将来、デンゼル・ワシントンと共演するんだぞ」と教えてあげたい。きっと信じないと思いますが(笑)。
Q:改めて演じたルシアスは、どんな部分が観客にアピールすると思いますか?
メスカル:ルシアスは生まれながらのサバイバーです。信念を貫き、不可能という概念を受け入れない。自分の目標を達成するため、あらゆる必要な手段を講じます。現実社会では怒りの感情で世界を変えることは危険ですが、ルシアスの怒りは映画の中で有効に働いたと思います。