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『クラブゼロ』ジェシカ・ハウスナー監督 映画言語を視覚化する、“尺と視点”  【Director’s Interview Vol.455】

Ⓒ COOP99, CLUB ZERO LTD., ESSENTIAL FILMS, PARISIENNE DE PRODUCTION, PALOMA PRODUCTIONS, BRITISH BROADCASTING CORPORATION, ARTE FRANCE CINÉMA 2023

『クラブゼロ』ジェシカ・ハウスナー監督 映画言語を視覚化する、“尺と視点” 【Director’s Interview Vol.455】

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映画言語を視覚化する、“尺と視点”



Q:シンメトリーな構図や整理し尽くされた画面設計が印象的でした。その世界観を作る上で、ルールや法則などはありますか。


ハウスナー:ルールなどは特にありませんが、いつも画コンテを描いています。脚本が出来たらそこから視覚化のプロセスを始めるのですが、基本的に全てのシーンをコミックのような画コンテに起こします。コンテでは、構図や画角、誰がそのシーンにいて、誰がオフシーンなのか、前後に誰が立っているのかなど、その段階で全て考えて描いています。


コンテでもう一つ重要なことは、シーンやセリフにどれくらいの尺が掛かるかということ。自分の作品の中では必ず、リアルタイムで進む時間のシーンがあるんです。大体いつもカメラ1台で撮影しているので、役者さんがそのシーンの中でおく“間”の尺も、コンテの段階から考えています。つまりセリフの後に5〜10秒ほどの“間”が入るということなどが、全て画コンテの段階から見えているんです。画コンテを描くのはビジュアルのためというよりも、その作品の映画言語を視覚化するため。それは即ち“尺と視点”ということなんです。



『クラブゼロ』Ⓒ COOP99, CLUB ZERO LTD., ESSENTIAL FILMS, PARISIENNE DE PRODUCTION, PALOMA PRODUCTIONS, BRITISH BROADCASTING CORPORATION, ARTE FRANCE CINÉMA 2023


Q:監督が意図するシーンを作り上げるためには、役者たちの動きも重要になってくるかと思いますが、彼らに何を伝えて、どのように演出されるのでしょうか。


ハウスナー:私のやり方に合う役者もいれば、そうでない方もいます。合わない方は最初フラストレーションを感じるみたいですね(笑)。私はアドリブの余地を与えません。リハーサルから始めて、「セリフの次はこっちに動いてください。次はこういうことが起こるので、それに伴ってこう動いてください」と、バレエのコレオグラフィのようにセリフと動きを全て決めています。そうやってシーンのコレオグラフィを何度も繰り返してもらうと、役者たちもだんだんナチュラルに演じることが出来るようになる。そこでやっとカメラを回すという感じです。そこから先は役者の仕事で、セリフと動きをいかにナチュラルに見せられるかが勝負ですね。




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