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『クラブゼロ』ジェシカ・ハウスナー監督 映画言語を視覚化する、“尺と視点”  【Director’s Interview Vol.455】

Ⓒ COOP99, CLUB ZERO LTD., ESSENTIAL FILMS, PARISIENNE DE PRODUCTION, PALOMA PRODUCTIONS, BRITISH BROADCASTING CORPORATION, ARTE FRANCE CINÉMA 2023

『クラブゼロ』ジェシカ・ハウスナー監督 映画言語を視覚化する、“尺と視点” 【Director’s Interview Vol.455】

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皮肉をこめた“蓮の花”



Q:障子から蓮の花の祭壇まで、日本をはじめとする東洋の影響を感じましたが、監督ご自身は東洋への興味をお持ちですか。


ハウスナー:音楽についてはアジアのテイストが要素として入っていると思います。前作『リトル・ジョー』(19)では伊藤貞司さんの曲を使わせてもらい、西洋と日本の感覚の奇妙なギャップにインスピレーションを受けたりもしました。


ただし、今回の蓮の花に関しては“皮肉的な狙い” で使っています。あれはプラスチック製で近所のスーパーで売っているような平凡なもの。だから教師がどんな思想を説いていたとしても、結局はプラスチックの花に過ぎないのだという皮肉を表現しているんです。



『クラブゼロ』Ⓒ COOP99, CLUB ZERO LTD., ESSENTIAL FILMS, PARISIENNE DE PRODUCTION, PALOMA PRODUCTIONS, BRITISH BROADCASTING CORPORATION, ARTE FRANCE CINÉMA 2023


Q:美術や衣装など全体のカラーリングはどこまでディレクションされているのでしょうか。スタッフに委ねる部分はありますか。


ハウスナー:映画作りにおいて最も密にコラボレーションしているのが、衣装デザイナーである姉のターニャ・ハウスナーです。脚本を書き上げたら最初に相談する一人であり、彼女は脚本を読んだ印象で、ビジュアル集のようなコラージュされたファイルを作ってくれるんです。それを見ながら理想の衣装を作っていく中で、全体の色彩やスタイルも決まっていく感じです。


Q:舞台となるロケーションも世界観に合っていて印象的です。


ハウスナー:ロケ地を決めてからコンテを描くと、とても凡庸なものになるので、基本的にロケ地を探す前に画コンテを描いています。そのシーンで自分が正しいと思うコレオグラフィを画コンテにおとしたい。それは場所も同じです。だから場所を探すのにいつも時間が掛かります(笑)。




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監督/脚本:ジェシカ・ハウスナー

2001年の長編デビュー作『LovelyRita ラブリー・リタ』は第54回カンヌ国際映画祭ある視点部門で国際的な注目を集め、2004年、長編2作目となる『Hotel ホテル』で再び同部門に選出。2009年、『ルルドの泉で』は第66回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に選出され、国際批評家連盟賞ほか5部門を受賞した。『Amour fou(原題)』(14)は第67回カンヌ国際映画祭ある視点部門でプレミア上映された。そして、長編5作目にして英語デビュー作となる『リトル・ジョー』(19)は、第72回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品された。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。





『クラブゼロ』

12月6日(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開

配給:クロックワークス

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