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『わかっていても the shapes of love』中川龍太郎監督 大人の鑑賞に堪えるラブストーリーを【Director’s Interview Vol.460】

『わかっていても the shapes of love』中川龍太郎監督 大人の鑑賞に堪えるラブストーリーを【Director’s Interview Vol.460】

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ABEMAオリジナルドラマ『わかっていても the shapes of love』は、同名のwebtoonをもとにした韓国ドラマNetflixシリーズ「わかっていても」を原案に、恋をしたことのある誰もが共感できる「傷つくとわかっていても、愛に手を伸ばしてしまう人間の衝動」を描き出す。主演は本作にて3年ぶりの恋愛ドラマ出演となる横浜流星。監督を手掛けたのは『わたしは光をにぎっている』(19)『やがて海へと届く』(22)などで、繊細かつ美しい世界観を描いてきた中川龍太郎。


中川監督はいかにして配信ドラマ『わかっていても the shapes of love』を作り上げたのか。話を伺った。



『わかっていても the shapes of love』あらすじ

鎌倉にある美術大学に特別臨時講師として海外から赴任してきた漣(れん/横浜流星)。若き天才芸術家である漣は、誰もが近づきたくなる吸引力と、誰にも深入りさせないミステリアスな魅力を併せ持つ“沼男”。まるで、花に群がる蝶のように、常に誰かが彼の周りを囲んでいた。才能溢れる漣は、周囲の期待に応えるように一見器用に生きながらも、周りの人々に対しどこか諦めに近い感情を抱いていた。しかし、他とは違うある女性・美羽(南沙良)に出会う。漣と同じ美術大学で彫刻学科の助手として働く彼女は、在学中に思うような結果を出せず、卒業後も彫刻家としての夢を諦められずに助手という形で大学に残りながら、海外渡航の道を探っていた。燻った自分とは正反対な、稀有な才能をもちながらも臨時講師をお気楽にしている漣に、憧れと嫉妬と悔しさを混ぜた感情をぶつけてしまう。そんな彼女に漣も興味を持ちはじめ――。


Index


大人の鑑賞に堪えるラブストーリー



Q:本作に携わることになった経緯を教えてください。


中川:プロデューサーの佐藤菜穂美さんには以前からお声がけいただいており、この作品以外の企画を色々と進めていたのですが、その時はどれも実現しませんでした。そんな流れの中から、「こういう企画もあるのですが…」と本作の話をいただいたのがきっかけです。佐藤さんとはいつか一緒に企画を実現したいという思いもあり、これまで自分がやったことのないジャンルではありましたが、今回は是非チャレンジしてみようと。


Q:「これまでやったことのないジャンル」とは、漫画の原作モノというところでしょうか。


中川:そうですね、今までは漫画の原作モノを手がけたことはありませんし、韓国でドラマになったものをやることも初めてでした。そもそもどうして自分にオファーが来たのか最初は不思議でしたね。他の監督の方が原作を上手に捉えてそのまま撮ることが出来るのではないかと。


ですが、プロデューサーの方々が最初に言ってくださったのが、「原作をそのままやるのではなく、日本を舞台にして新しく作り直したい」ということでした。また、すでに主演が決まっていた横浜流星さんの思いとしても、「原作そのままではなく大人の鑑賞に堪えうる大人のラブストーリーにしたい」とのこと。そういうことであれば、自分が今まで積み重ねてきたことが少しはお役に立てるかなと。



ABEMAオリジナルドラマ『わかっていても the shapes of love』© AbemaTV, Inc. All Rights Reserved


Q:脚本も担当されていますが、そこはご自身で希望されたのでしょうか。


中川:オファーいただいたものでも、オリジナルでも、監督する作品で脚本を書かなかったことはこれまでありません。今回も自分ひとりではありませんが、書かせていただきました。自分で書かないと分からなくなるんです。脚色の仕方や方向性に関してはプロデューサーチームと話し合い、それをディテールに落とし込む作業は、いつも一緒にやっている佐近圭太郎さんと進めていきました。


Q:原作の脚色作業はいかがでしたか。


中川:韓国版の原作ドラマは結構な長さがあったので、まとめていくことは簡単ではありませんでした。これまで手がけた配信ドラマは1話完結のオムニバスでしたが、今回は連続モノで“次回への引っ張り”が必要になってくる。これまで自分が経験してきたものとは種類の違う技術を求められましたが、そこはプロデューサーの皆さんに助けられました。加えて流星さんの意見もすごく参考になりましたね。彼の中には主人公のイメージがすでにあったので、そこの部分は会話しながら作っていくことができました。自分が迷っているところを、流星さんが導いてくれた面もあったと思います。


Q:横浜流星さん演じる漣はクールなキャラクターですが、一歩間違ったらかなりキザな役になってしまう。そこの匙加減は難しかったのではないでしょうか。


中川:本当にそうですよね。そこは悩んだところでした。流星さんだから成立しているというだけになってしまうと、別の人間に置き換えたら許されなくなる。そういう受け取られ方をしないギリギリのラインを攻めたいと思いました。でもラブストーリーって、ちょっと非常識な踏み込み方がないと、ときめかない部分もある。そこを探るのがすごく大変でした。結局、多くの部分において、流星さんだからこその魅力に頼らせていただくことになりました(笑)。


Q:世界観も相まって、漣のクールでミステリアスな魅力に惹かれてしまう部分もありました。


中川:ミステリアスではあるけれど、悪い奴ではなさそうな感じもありますよね。その雰囲気を出せるは流石だなと思いました。




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