1. CINEMORE(シネモア)
  2. Actor‘s Interview
  3. 『死に損なった男』田中征爾監督 × 水川かたまり 普段の自分を投影した役作り【Director’s Interview Vol.472】
『死に損なった男』田中征爾監督 × 水川かたまり 普段の自分を投影した役作り【Director’s Interview Vol.472】

『死に損なった男』田中征爾監督 × 水川かたまり 普段の自分を投影した役作り【Director’s Interview Vol.472】

PAGES


長編映画デビュー作『メランコリック』(19)が絶賛された田中征爾監督の最新作は、死に損なった構成作家とその作家につきまとう幽霊の物語。主人公の構成作家には空気階段の水川かたまりが大抜擢。監督、主演、そして物語と、この予測不能な組み合わせは一体どんな映画を生み出したのか!? 田中征爾監督と水川かたまり氏に話を伺った。



『死に損なった男』あらすじ

構成作家の関谷一平(水川かたまり)は、お笑いの道に憧れ、夢が叶った半ば、殺伐とした社会と報われない日々に疲弊していた。駅のホームから飛び降りることを決意するが、隣の駅で人身事故が発生。タイミング悪く死に損なった一平の前に男の幽霊(正名僕蔵)が現れ、とんでもない依頼をする。「娘(唐田えりか)に付きまとっている男(喜矢武豊)を殺してくれないか?」 男を殺すまで取り憑くという幽霊の脅迫に、一平がとった選択とは?死に損なった男が辿る数奇な運命とはー。


Index


なぜ主人公は構成作家だったのか



Q:オファーが来た時の印象はいかがでしたか。


水川:ドッキリだと思いました。最初は企画書や台本があったわけではなく“映画の主演”というスケジュールしかなかった。そういう嘘みたいな仕事が入っているときは大体ドッキリだったりするんですよ。どうせその類いだろうと思っていたら、マネージャーが「マジですよ」と台本を渡してくれて、読んでみたらこれが面白い。ここまで完成された台本はさすがにドッキリ用のダミーじゃないなと(笑)。撮影初日の現場も「これは偽物じゃない」というレベルの機材やスタッフ数だったので、そこで初めて「100%本物だ」と実感しました。


Q:主人公・関谷一平役はなぜ水川さんだったのでしょうか。


田中:キャスティング会議で最初に挙がっていたのは、いわゆる名の通った役者の皆さんでした。その方々で関谷一平をイメージしてみると、今回の映画は普通にキャスティングすると魅力が無くなってしまうタイプの作品だと気づいた。そんなときにプロデューサーから「芸人さんどうでしょう?」という意見が出て、候補の中に水川さんの名前があったんです。それで「この中だったら絶対に水川さんですね!」と。芸人さんにお願いすることと水川さんにお願いすることが同時に決まった感じでした。



『死に損なった男』©2024 映画「死に損なった男」製作委員会


Q:主人公を構成作家にしてお笑いの世界を舞台にした理由は何でしょうか。


田中:誰かを殺せというオーダーに対して、戦うことに不慣れな構成作家のような人を配置する方がドラマ性が増すなと。また、僕はウディ・アレンが大好きでして、『ブロードウェイのダニー・ローズ』(84)という映画でアレンが芸人のマネージャーのような役をやっているんです。その映画と今回のテーマが似ていたこともあったので、この映画でもお笑いの世界を舞台にしました。


水川:普段から構成作家と話す機会は多く仕事内容も分かっているので、すごくやりやすかったですね。映画の中には芸人も出てくるのですが、そういう芸人たちとのシーンではホッとしていました(笑)。




PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
counter
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. Actor‘s Interview
  3. 『死に損なった男』田中征爾監督 × 水川かたまり 普段の自分を投影した役作り【Director’s Interview Vol.472】