コメディと血なまぐさい映画が混ざり合った作家性
Q:上田監督は高校生のころから自主映画を作ってこられたそうですが、特に影響を受けた映画はありますか?
上田:この映画!っていうのはないけど、その時々ですごく影響を受けています。高1の時に作った短編映画は、ガイ・リッチーの『 ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(98)っていう映画に影響されました。時間軸がちょっと戻ったりとか、群像劇でいろんなことが最終的につながるみたいなのが好きで。高2の時に作った映画は、当時ポール・トーマス・アンダーソンの『マグノリア』(99)という映画にはまっていて、その『マグノリア』のサントラをがっつり使って作ったりとか。で、その後も岩井俊二に傾倒した時は、『リリイ・シュシュのすべて』(01)のカバーみたいな映画を作ったりとか。
Q:そっち側にも行ったことがあるんですね。意外です。
上田:めちゃめちゃ雑食ですよ。ゴダールとかトリュフォーも見た時期もありますし、『 イレイザーヘッド』(77)とかも、もう5回ぐらい寝ながら何とか最後まで見たこともあります。でも特に影響を受けているのは、やっぱり三谷幸喜さん。『ショウ・マスト・ゴー・オン 幕を降ろすな』っていう舞台があるんですけど、それがすごく好きで。あと『12人の優しい日本人』とか『ラヂオの時間』。この3本は影響がでかいと思いますね。
三谷さんの好きなビリー・ワイルダーとかルビッチとかっていう、アメリカの古典的なロマンチィックコメディ、洗練されたウェルメイドな作品群と同時にタランティーノとか、ブライアン・デ・パルマとか、スコセッシとか、血なまぐさい、勢いにあふれた人たちが好きな俺がいて、それが混ざっている感じですね。