わずか2館の上映から180館を越える規模に拡大公開!(8月17日時点)異例の大ヒットとなった『 カメラを止めるな!』。連日そのヒットぶりがニュースでもとりあげられ、邦画界ではここ10年で最大の話題作といっても過言ではないだろう。今までありそうでなかった構成のアイデアなど、前代未聞の作品を生み出せた秘密とは何なのか?上田慎一郎監督に、作品の発端や、演出術、ストーリーに込めた思いを語ってもらったロングインタビューを前・後篇の2回に分けてお届けする。
※前篇は核心的なネタバレには抵触していませんが、映画の内容には踏み込んでいますので、映画鑑賞後にお楽しみいただくことを強くお勧めします!
Index
『カメラを止めるな!』着想の原点とは?
Q:大ヒットおめでとうございます!
上田:ありがとうございます。
Q:『カメラを止めるな!』はどんな経緯で立ち上がった企画だったんですか?
上田:この企画の着想は、2013年にPEACEという劇団(2014年に解散)の『GHOST IN THE BOX!』という舞台を見て、インスパイアを受けて作った作品です。最初のころは、その舞台の脚本家や出演者と一緒に企画開発をしていたのですが、お互いの事情もあって一旦頓挫しました。その後2016年に、とある企画コンペに出してみないか、とかいうお話が来て、基本的な構造以外は登場人物や展開を丸ごと変えて、新しい企画として書き直しました。で、コンペに出したんですけど見事に落ちまして。その落ちた直後に今回のシネマプロジェクトで何か1本映画を作ってみないかというお話が来ました。
ただ受けた時は、まだ『 カメラを止めるな!』を作るとは決めていませんでした。シネマプロジェクトは応募してくれた人からキャストを選抜して、ワークショップを経て作るんですけど、来た人を見てみないと作れるものが分からないなと思ったんです。オーディションをして、既存のの台本などを使った演技レッスンをして、みんなの個性を知った上で、このメンバーとなら『 カメラを止めるな!』を作れるんじゃないかと思って決めました。
Q:応募してきた人たちを見て、「これならいける!」と?
上田:そうですね。だからもう、先にキャストが決まっていました。