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『スイート・イースト 不思議の国のリリアン』ショーン・プライス・ウィリアムズ監督 皆がハッピーなのが理想の現場【Director’s Interview Vol.479】

© 2023 THE SWEET EAST PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

『スイート・イースト 不思議の国のリリアン』ショーン・プライス・ウィリアムズ監督 皆がハッピーなのが理想の現場【Director’s Interview Vol.479】

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NYインディペンデント映画シーンを牽引してきた撮影監督ショーン・プライス・ウィリアムズ。これまで、サフディ兄弟監督作『神さまなんかくそくらえ』(14)『グッドタイム』(17)をはじめ、長編・短編映画・TVシリーズ・ミュージックビデオなど120本以上の作品を撮影してきた。そんな彼の監督デビュー作となるのが『スイート・イースト 不思議の国のリリアン』だ。分断や混沌とするイデオロギーが加速するアメリカを、まるで不思議の国を旅するかのように一人の少女の視点で露わにしていく。ショーン監督はいかにして本作を作り上げたのか。話を伺った。



『スイート・イースト 不思議の国のリリアン』あらすじ

サウスカロライナ州の高校3年生リリアンは、彼氏のトロイ、親友のテッサ、何かとトロイにちょっかいを出してくるアナベルたち同級生と、修学旅行でワシントンD.C.を訪れている。はしゃぐクラスメイトを、ひとり冷めた目で眺めている、どこか物憂げなリリアン。夜、皆で抜け出して行ったカラオケバーで、陰謀論に憑りつかれた若い男による銃乱射事件に巻き込まれてしまう。その場にいたド派手なパンク・ファッションのケイレブに導かれ、店のトイレに逃げ込むと、大きな鏡の裏に“秘密の扉”があった。それは地下通路へと繋がっていた・・・。


Index


ワンダーランドはどこにある



Q:アメリカという国をテーマの中心に据えた映画を撮ることは、以前から考えられていたのでしょうか。


ウィリアムズ:難しい質問ですね。というのも、今日はトランプ政権に変わってから初のインタビューなので、以前と今とでは考え方がちょっと違うんです。私と脚本家のニックの二人で脚本を書いていたのが2015〜2017年あたりで、政治的な転換が起きていた時期でした。それらを映画に盛り込もうと意見交換をする中で、お互いが共通して描きたかったことは、政治的な対立構造や分断、マッチョな愛国主義的モチーフでした。まさに今この時代になったからこそ、そこは分かりやすいのではないかなと。また、この映画を撮っていたときはある意味“ぬるま湯”なバイデン政権下でしたが、政権や時代を映画の中で明示することはあえて避けています。



『スイート・イースト 不思議の国のリリアン』© 2023 THE SWEET EAST PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.


Q:この映画は「不思議の国のアリス」に例えられることが多いと思いますが、この映画を観るとアメリカという国はまさにワンダーランドだと感じます。これは最近のことなのでしょうか。それとも昔から続いているものなのでしょうか。


ウィリアムズ:ワンダーランドとしてのアメリカは、僕にとっては西部のイメージです。西部はいろんな意味でかなり古くて、そこから脱しきれていませんからね。「不思議の国のアリス」の例えは以前にも指摘されたのですが、今となってはすごくしっくりきます。今では自分から、この映画は「不思議の国のアリス」だとよく例えに出しています。でも、ニックと僕にとってそれは逆に面白味のないアメリカなのです。昔に囚われて変革していないアメリカであり、開拓時代のアメリカとは真逆なんです。そしてこの地ではナンセンスが通用しない。ちょっと堅物で古いアメリカですね。





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