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「第3回新潟国際アニメーション映画祭」審査員・松本紀子プロデューサー 映画祭の面白さは人に会えること【CINEMORE ACADEMY vol.38】

「第3回新潟国際アニメーション映画祭」審査員・松本紀子プロデューサー 映画祭の面白さは人に会えること【CINEMORE ACADEMY vol.38】

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“アニメ”というカテゴリーが自ら殻を破る



Q:アニメーションの映画祭が日本で行われる意義は何でしょうか。


松本:それについてはいろいろ思うところがあります。“アニメーション”と“アニメ”って今はちょっと違う意味を持っている気がしていて、いわゆる“日本のアニメーション”は、“アニメ”と言われて海外で評価されている。でもそれは一方で、“アニメ”というところに閉じこもってしまう部分もあるのかなと。“アニメ”というニッチな分野にならないように、“アニメーション”というものに溶け込むことが必要なのではないか。たとえば、映画祭でピクサーのような海外の作品と日本のアニメが一緒に並ぶことで、全てのアニメーションが一つに語られる。その映画祭が日本で行われることによって、“アニメ”というカテゴリーが自ら殻を破りにいくことができるのだと思います。


ペーパーカット:インディー作家の僕の人生』のようなアートな作品や『口蹄疫から生きのびた豚』といった社会性が強い作品と、日本の『ルックバック』(24)が一緒に語られるって面白いですよね。だからこそ審査は大変かもしれませんが…(苦笑)。


Q:審査では海外の視点を知ることもできそうですね。


松本:そうですね。海外審査員の方がどんな意見を持たれるのかを聞くのが楽しみです。海外で自分たちの作品を見てもらうと、「なるほど、そういう視点で見るのか」といったことがよくあります。それぞれの国が映像作品に対して何を大事にしているのか。それを知ることができるチャンスかもしれません。



『ペーパーカット:インディー作家の僕の人生』


Q:松本さん自身もアニメーション制作をされていますが、過去の映画祭で自身の作品がかかったことにはどんな思いがありましたか。


松本:いやもう、私は超嬉しくて幸せでした。映画祭にかかるということは、自分たちが作った映画を誰かが評価してくれた結果。映画祭ではその評価が可視化できるし、やっぱりクリエイターって褒められたいんです(笑)。映画祭に呼ばれることは一つの褒められる形でもあるし、呼んでいただけことは評価された証拠ですから。


コンペで賞を獲る獲らない以前に、「自分の作品はこういった作品と比べられるのだな」という経験ができることも面白い。そういった世の中の作品と並べられることで、「こんな作品があるんだ」「こういうことでいいんだ」「わかりにくくても大丈夫なんだ」「こんなにシンプルでもいいんだ」「こんなに短くてもいいんだ」などなど、自分の間口が広がっていく。最も顕著なのは「私の作品ではなく、他の作品が選ばれたのは何故だろう」ということかもしれませんが、そういったキツイ経験も含めて、色んな映画祭を回った方がいい。映画祭によって評価される作品も違いますしね。そんな経験も面白いと思います。


私自身、昨年は『ボトルジョージ』(24)と『こまねこのかいがいりょこう』(24)という2本の作品を携えて、いろんな映画祭に足を運びました。どこに行ってもけっこう同じ人と会うんです。それで仲良くなるのも映画祭を回る楽しさですね。もちろんお金も掛かるし、時間も取られるので、なかなか難しい部分はあるかもしれませんが、今はオンラインでもそれができる時代になっています。





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