今年で3回目を迎える「新潟国際アニメーション映画祭」。2025年3月15日(土)から6日間にわたり開催される今回は、「どーもくん」や「こまねこ」などのコマ撮り作品を生み出してきたスタジオ「ドワーフ」の松本紀子プロデューサーが、長編コンペティション部門の審査員を務める。コンペティションだけにとどまらず、今 敏レトロスペクティブをはじめとする特集上映やトークイベントなど、アニメーションにどっぷり浸れる6日間だ。
新作映画の提案でLAに滞在中の松本紀子プロデューサーにオンラインで取材を敢行、映画祭やアニメーションへの思いを語ってもらった。
Index
映画祭の面白さ、人に会えること
Q:審査員を担当されることにどんな思いがありますか。
松本:本当に私でいいのかしらと思いつつ、受けさせていただきました。新潟には1回目からお邪魔していて、楽しくて良い映画祭だなという印象がありました。今回審査員として参加できるのはすごく嬉しいです。ゲストや審査員の方々と長い時間一緒にいて交流できることが楽しみですね。
新潟は長編が中心の映画祭ということもあり、アートとエンターテインメントのバランスが良い。アート寄りになりすぎずエンタメの作品もしっかり見せてくれる。逆に言うと審査がすごく難しそうだなと(笑)。
Q:注目しているプログラムはありますか。
松本:どれも面白そうなので絞るのが難しいですね。今 敏さんの特集は観たことのある作品も多いですが、改めてもう一度観たいですし、技術的なところを切り口にした「ロトスコープの現在」は今っぽくて面白そうだなと。ドワーフでも特集を組んでいただいたので、そこでいろいろな方にお会いして話をするのが楽しみです。
『こまねこのかいがいりょこう』©dwarf・こまねこフィルムパートナーズ ©dwarf
Q:松本さんが考える、この映画祭の楽しみ方を教えてください。
松本:映画祭によってはアートなものや実験的なものが多かったりして、その“映画祭らしさ”があるのですが、ここは「新潟らしさって何だろう」と思うくらいにバラエティに富んでいる。そういう意味では、“観たことのないものを観てみる”という楽しさがあると思います。いつも観ているものとは違うものを観てみると、新しい何かに出会うことができる。それが新潟の一つの楽しみ方かな。
そして映画祭の一番の面白さは、人に会えること。制作者は一般のお客さんと話すことができるし、制作者同士の交流もできる。実際私も、ここで出会った海外の方と今一緒に仕事をしています。制作者は自分の作品を観ている人を間近に見るチャンスだし、その人たちと語り合うこともできる。そこも映画祭の楽しさの一つですね。