ジャンルを超えて描く“人間の何か”
Q:主演の3人は難しい役柄だったかと思いますが、3人とはどんなお話をされましたか。
土井:実は3人とは、役柄についてあまり深く話をした記憶がないんです。現場の彼女たちはいつも3人一緒にいて、セット裏でも椅子を並べてずっと喋っていました。この映画にとって大事なのは、描かれていない12年間をどうやって埋めていくのかということ。おそらく彼女たちは、3人ずっと一緒にいることによってその作業をしていたのではないかと感じていました。それぞれが芝居を張り合うというよりも、3人が一つになってこの作品の中で機能していく。この作品においては、そのことを一番に考えていたのではないかと思います。
『片思い世界』(C)2025『片思い世界』製作委員会
Q:完成した映画を観た坂元さんは「棺桶に入れたい作品ができた」と思われたそうですが、土井監督は完成した映画を観ていかがでしたか。
土井:坂元さんは、日本映画の現状に一石を投じようとしているのではないかと感じました。その作品に関われたことは、僕自身にとってもとても大きな意味を持つことでした。ひと言ではうまく語れない、でも決してわかりにくくはない、そして観た後で必ず人と語り合いたくなるような、そんな作品が出来たのかなと思います。
Q:色んなジャンルの映画を作ってこられましたが、今後はどういう映画を作っていきたいですか。
土井:「そんなに色んなジャンルをよくできますね」と言われることが多いのですが(笑)、どのジャンルも“人間の何か”を描いていることに変わりはないと思っています。“人間っていったい何なのか?”それが、この先も自分の中ではずっとテーマなのだと思うし、今後もそれを色んな形で描いていきたいですね。ただ、体力的に連続ドラマはキツくなってきたので、ある程度ゆとりを持ってやりたいです(笑)。
『片思い世界』を今すぐ予約する↓
監督:土井裕泰
1964年生まれ、広島県出身。早稲田大学卒業後、1988年にTBSに入社し、テレビドラマのディレクターとして「愛していると言ってくれ」(95)、「青い鳥」(97)、「Beautiful Life」(00)、「GOOD LUCK!」(03)等、数々のヒット作を手掛ける。04年には『いま、会いにゆきます』で映画監督業にも進出。以降、コンスタントにテレビドラマ、映画それぞれで話題作を手掛け、『罪の声』(20)にて、第33回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞と第45回報知映画賞で作品賞を、第44回日本アカデミー賞では監督賞や作品賞など計11部門で優秀賞を受賞し、その手腕が高く評価された。坂元裕二とは、チーフプロデューサーと演出を務めた「カルテット」(17)を経て、坂元が書き下ろした初のオリジナル恋愛映画『花束みたいな恋をした』(21)でもタッグを組み、コロナ禍での公開にもかかわらず、全国映画動員ランキング(興行通信社)で6週連続1位、15週連続トップ10にランクイン、興行収入は38億円を突破する社会現象となった。その他の映画作品として、『涙そうそう』(06)、『ハナミズキ』(10)、『麒麟の翼〜劇場版・新参者〜』(12)、『映画ビリギャル』(15)など。公開待機作に『平場の月』(出演:堺雅人、井川遥/2025年秋公開)がある。
取材・文: 香田史生
CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。
撮影:青木一成
『片思い世界』
4月4日(金)全国ロードショー
配給:東京テアトル、リトルモア
(C)2025『片思い世界』製作委員会