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『フロントライン』関根光才監督 エンターテインメントと社会的コンテクスト【Director’s Interview Vol.493】

『フロントライン』関根光才監督 エンターテインメントと社会的コンテクスト【Director’s Interview Vol.493】

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シネマカメラALEXA65がもたらす効果



Q:客船内、会議室、病院など、物語の多くが限定された空間の中で展開します。画面設計に関して、撮影の重森豊太郎さんとはどのようなお話をされましたか。


関根:実際に起きていることは淡々としているにもかかわらず、緊迫感がある状況をどうやって作りだすか。それは大きなミッションの一つでした。


今回使用したARRI ALEXA65というカメラは、センサーサイズがすごく大きくて、パースペクティブが広い。その場にいるような視点に近くなります。その人が向き合っている状況にカメラを入れて、できるだけ1ショットで物事を積み重ねていく。リアルタイムで起きていることを記録していくような意識で撮影しました。



『フロントライン』© 2025「フロントライン」製作委員会


Q:冒頭、森七菜さん演じる客船クルーが船の下船口に立つシーンで、カメラが船内から外に出て行きましたが、実際にカメラをドローンで吊っているのですね。


関根:あれは結構無茶をさせてもらったプランだったのですが(笑)。ただ、そういうチャレンジングなこともこの映画では必要なのだと、それを皆わかってくれていました。カメラを釣るために改造したドローンが、まるで巨大な宇宙船みたいになっていました。実際に起きた出来事を映画化する際には、ドキュメンタリックに丁寧に撮っていくだけではなく、映像的なチャレンジもやってくことで映画として成立させる。それは考えていました。


Q:冒頭からいきなりその効果を発揮している印象がありましたが、ALEXA65を使用した手応えを教えてください。


関根:ALEXA65を使ったのは日本映画として初めてなんです。経験値がないカメラなので大変な苦労もありましたが、このカメラが作品に合っていることは、皆が確信を持って取り組んでいました。観た人から「映像的に何か特殊なことをしていますか?」と聞かれることも多く、チャレンジしたことが感覚的にお客さんに届いているのであれば、すごく良かったと思います。





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