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『アジアのユニークな国』山内ケンジ監督 撮影条件から生み出す物語【Director’s Interview Vol.500】

『アジアのユニークな国』山内ケンジ監督 撮影条件から生み出す物語【Director’s Interview Vol.500】

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CM制作から自主映画へ



Q:お2人ともCM業界出身で、ちゃんとした予算のある撮影をこれまで仕事にされていたわけですが、自分たちだけで自主映画を作る経験はいかがですか。


野上:制作側はずいぶん違いますね。制作部的な仕事は変わらないのですが、美術や照明スタッフがいるわけではないので、それも自分たちでやることになる。これまでCMの現場で見てきた一流スタッフたちの仕事を思い出しながら、自分たちで美術や照明をやっていました。もちろん同じことが出来るわけではありませんが、そういったスタッフが何をどうやっていたのか、側で見てきたことが少しは役に立ったかなと。


山内:CMディレクターが映画をやる場合、CMと同じようなバジェット感で大きな商業映画をやる人もいますが、一方で小さな映画をやる人もいる。そのときはCMでご一緒しているスタッフに無理を言って、ほとんど手弁当でやってもらう場合もあります。もちろんそれは毎回やれるわけではない。しかも僕らが始めた自主映画のバジェットでは、CMのスタッフに無理を言うことすらできなくて、そんなレベルに至っていない(笑)。もっと全然安くやらないと駄目なことがわかりました。


つまりCMのスタッフにはお願いできないってことなんです。カメラマンや照明技師は「ノーギャラでもいいですよ」と言ってくださることもありますが、一緒についてくる助手さんには当然支払いが発生する。録音技師も同じことが起こりますね。


野上:それで録音マイクの竿は制作部が持つ(笑)。


山内:だから、自前のカメラ機材を持っていて、助手なしで照明もやります!という人にお願いするしか方法がない。録音も同じで、自分の機材を持ってきて一人でやりますという人が必要になる。そういった方を探すのに1年掛かりましたね。



『アジアのユニークな国』©『アジアのユニークな国』製作委員会


Q:ではスタッフは初めての方にお願いされたのでしょうか。


野上:録音部は北原慶昭さんという昔から知っている方にお願いしました。北原さんにはご自身が持っている機材込みで1人で来てもらいました。もちろん制作部が手伝えるところは手伝っています。撮影は前回の『夜明けの夫婦』が長編1本目という、元俳優の渡部友一郎くんにお願いしました。彼はカメラ好きで自分でカメラを持っていたので、それを使わせてもらい撮影しています。短編なども含めるともう3~4本くらい一緒にやっていますね。前回はフォーカスが来てなくて撮影をやり直したこともありましたが、今回はそういうこともなかった。みんな学習していきますね。照明はウチにあるライトと渡部くんが持ってくるライトだけでやりました。衣装もスタイリストさんの持ち物を使わせてもらっていますが、今回はおまわりさんの衣装が一番高かった。あれだけは借りなきゃいけないので(笑)。


Q:そういった環境での“もの作り”は大変そうですが、楽しそうな感じもしますね。


山内:今回は本当に楽しかったです。前回はいろいろと反省点がありましたが。


野上:前回もやっているときは楽しかったけれど、後々反省点が出てきた感じですね。


山内:そう。だから徐々に良くなっているから、これからも続けたいと思っています。




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