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『夏の砂の上』玉田真也監督 戯曲の余白を映画で埋める面白さ【Director’s Interview Vol.501】

『夏の砂の上』玉田真也監督 戯曲の余白を映画で埋める面白さ【Director’s Interview Vol.501】

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舞台と映画、演出の違い



Q:舞台の映画化にあたり、演出で意識されたものはありますか。


玉田:舞台でやっている分、そこに引きずられないようにしていました。「舞台のときのあれが良かった」という感覚があるわけですが、それにこだわりすぎて、せっかく別の人が集まってきているのに、それを押し付けるのは良くない。いろんな才能のある人たちが集まってくれたので、出来るだけ自分は“器”であろうとしていました。自由にやってくれるための“良い器”でさえあれば、上手くいくのではないか。舞台での経験はシナリオに注ぎ込んでいるので、演出の時点では忘れようとしていました。


Q:映画版で新たなキャストが演じることはいかがでしたか。


玉田:面白い芝居を観ていると楽しいので、お客さんみたいな気持ちになるときもありました。段取りの時はそれを最前線で見られるわけですから。これは今だに思うのですが、「ここはこう動いてみましょうか」と演出で指示出しをすると、役者さんがその通りにやってくれるのが面白くて…(笑)。監督が言うから当然やってくれるわけですが、皆さん今までいろんな映画で観てきた人たちなので、余計に不思議な感覚になりました。当たり前のことですが、監督って変な職業だなと思いますね。



『夏の砂の上』(C) 2025 映画『夏の砂の上』製作委員会


Q:オダギリジョーさん、髙石あかりさん、松たか子さん、森山直太朗さん、高橋文哉さん、満島ひかりさんと、豪華な面々が揃いましたが、どのように演出されたのでしょうか。


玉田:撮影前に本読みをさせてもらいました。メインキャストの人たちは全員来てくれたので、2回くらい通しで読んでもらい、それぞれの俳優さんのトーンを揃えたい旨を伝えました。その上で現場に入れたので、僕としては本読みが大きかった気がしますね。皆さんからの質問はそんなに大きなことはなかったのですが、満島さんから「どこかで長崎弁を使いたいのですが、どう思いますか?」と聞かれましたりもしました。満島さんは標準語の役ですが、出身は長崎という設定。そういった提案などがありましたね。


Q:方言に関しては、九州出身の光石さんだけが飛び抜けて上手かったですね。


玉田:光石さんは北九州出身で、九州弁のグルーヴ感やリズム感みたいなことを一番知っているので、光石さんのいるシーンでは完全に光石さんに引っ張ってもらった感じがします。ただ、光石さんが喋っていたのは博多弁らしいです。長崎弁ではなかったのですが、もはやそれで良かった。長崎に住んでいたとしても、中学生までは北九州にいたような人もいるでしょうから。そういう多様性を考えたら、これはこれですごくリアルだなと。




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