アクションでストーリーを語る
Q:アクション満載の映画ではありますが、そのアクションがストーリーテリングとして機能しているところも面白さの秘密かと思います。アクションとストーリーテリングのバランスで気をつけていることはありますか。
ワイズマン:まさにそこは私が最も重視しているところ。そこに言及してくれたのは嬉しいですね。自分が若いときはスピルバーグやジェームズ・キャメロンの時代で、ビジュアルでストーリーを語る彼らの映画を観て育ちました。セリフで説明するのではなく、ビジュアルで見せていくところがすごくて、そこに魅了されていました。アクション自体も大好きですが、そこでいろんなストーリーが展開されていくことに、面白さがあると思っています。
Q:その場にある小道具を使ったり、場所の高低差を活かしたりと、状況を生かしたアクションが面白いです。それらはもともと脚本に書かれているのでしょうか。それとも現場でフレキシブルに決めているのでしょうか。
ワイズマン:そういったアクションの詳細は脚本には全く書かれていません。今回はロケーションにインスパイアされたものをアクションに取り入れていきました。撮影場所のハルシュタットという街は、高低差やいろんなレイヤーがあってとても面白かった。本当にたくさんの街をロケハンしたのですが、どこも平べったいところばかりでした。そのギャップもあって、ハルシュタットは一度見たら忘れられない場所になりました。脚本に書かれていなくても、インスピレーションを受けたものから撮影に取り入れることはよくあります。
『バレリーナ:The World of John Wick』© 2025 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
Q:そして何といっても、87イレブン(チャド・スタエルスキ)のアクションコレオグラフィーが素晴らしかったです。
ワイズマン:87イレブンとは過去に少し仕事をしたことがあったのですが、がっつりタッグを組んだのは今回が初めて。まさに夢が叶ったようでした。彼らは本当に超一流でアクションに対する敬意がすごい。大作映画の中にはアクションのディテールが詰められていない作品も多いのですが、87イレブンはディテールにこそ重きを置いてやっている。そういうこだわりを持ったチームと一緒にアクションシーンを綿密に作り上げていけたことは、これまででベストの経験でしたね。
Q:今回の悪役でもあるガブリエル・バーンの存在感が素晴らしく、映画を引き立てています。彼との仕事はいかがでしたか。
ワイズマン:私は『ミラーズ・クロッシング』(90)や『ユージュアル・サスペクツ』(95)がとても好きで、彼と一緒に仕事をしたいとずっと思ってきました。今回の彼はヴィランですが、彼と話すと、その説得力に思わず納得させられるような魅力を持っている。“良い悪役は自分のことを悪役だとは思っていない”などと言われますが、彼はまさにそうでしたね。一緒に仕事が出来て光栄でした。
『バレリーナ:The World of John Wick』を今すぐ予約する↓
監督:レン・ワイズマン
73年カリフォルニア州出身。美術スタッフとして『インデペンデンス・デイ』(96)、『メン・イン・ブラック』(97)、『GOZILLA』(98)などの大作に関わった後、2003年に『アンダーワールド』で監督デビューを果たし、後にシリーズ化されるほどの大ヒットとなった。主な監督作は『アンダーワールド:エボリューション』(06)、『ダイ・ハード4.0』(07)、『トータル・リコール』(12)など。
取材・文:香田史生
CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。
撮影:青木一成
『バレリーナ:The World of John Wick』
大ヒット公開中!
配給:キノフィルムズ
© 2025 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
PAGES
- 1
- 2