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『ハード・トゥルース 母の日に願うこと』マイク・リー監督 巨匠が見つめる黒人女性の心の真実【Director’s Interview Vol.527】
演技を学んだ過去の経験
Q:この映画は2023年から撮影が始まっていますが、パンジーの怒りは、パンデミック後の人々の混迷を映し出していると考えることもできますか?
リー:実はこれまで何度か「パンジーの怒りはパンデミックの影響でもあるのですか?」という質問を受けました。でも、私はそう考えていません。彼女はああいう性格なんだと思います。私の他の映画にも言えることですが、この映画では普遍的なテーマが描かれています。だから、その質問に対する私の答えはノーですね。
Q:あなたは俳優からいい演技を引き出すことに長けた監督だと思いますが、RADA(王立演劇アカデミー)で演技を学び、俳優だった経験が生きていると思いますか?
リー:確かにRADAに行きましたが、実は俳優だったわけではありません。演技について学びたくて、そこに行きましたが、私は最初から演出の道を目指していました。ティーンの頃、演出もすでに経験していたからです。確かに“俳優たちを理解している監督”という言い方はできるかもしれません。過去の私のバックグラウンドが、作品作りに役立っているのでしょう。

『ハード・トゥルース 母の日に願うこと』© Untitled 23 / Channel Four Television Corporation / Mediapro Cine S.L.U.
Q:どんな作品も作り上げるのは大変だと思いますが、この映画で、すごく苦労したのは、どういう点ですか?
リー:いい質問ですね。ただ…うーん、すぐに答えが浮かばないです。一般論ですが、映画作りの1番の問題は、製作日数が十分にないことだと思います。ただ、この新作に関しては、特に大きな製作上の問題はなかった。また、英国の映画作りで1番苦労するのは、天気の問題です。天候が変わりやすくて、その日がどうなるのか分からないこともある。ただ、『ハード・トゥルース』の撮影期間は天候に恵まれ、パーフェクトな日が続きました。この日は雨になると本当に困る、と思っていると、雨が降らずにその日がきちんと終わるんです。苦労らしい苦労は特になかったので、その質問への具体的な答えは思いつかないですね。