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『架空の犬と嘘をつく猫』森ガキ侑大監督 ドラマを劇的に描かない、抑制という挑戦【Director’s Interview Vol.533】

『架空の犬と嘘をつく猫』森ガキ侑大監督 ドラマを劇的に描かない、抑制という挑戦【Director’s Interview Vol.533】

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1人の少年を中心にした、ある家族の30年に渡る物語。寺地はるなの小説「架空の犬と嘘をつく猫」を映画化した森ガキ侑大監督は、このクロニクルを抑制したトーンで描き上げた。主演の高杉真宙をはじめとする役者陣の佇まいから、巨匠カメラマン・山崎裕が捉える佐賀の風景まで、スクリーンに映る全てが静謐。しかし不思議と物語に引き込まれ、気がつくとエンドロールを迎えている。


これまでの作品とは違うアプローチで挑んだ森ガキ監督は、いかにして『架空の犬と嘘をつく猫』を作り上げたのか。話を伺った。



『架空の犬と嘘をつく猫』あらすじ

弟の死が受け入れられない母のため、弟のフリをして母に手紙を書き続ける、小学生の山吹。空想の世界に生きる母、愛人の元に逃げる父、夢を語ってばかりの適当な祖父と“嘘”を扱い仕事をする祖母、そして“嘘と嘘つきが嫌い”な姉。一つ屋根の下に住んでいながらもバラバラに生きている家族の中で山吹は今日も嘘をつきながら成長していく―。


Index


30年を2時間で描くために



Q:原作のどこに映画化の魅力を感じましたか。


森ガキ:すごく面白い小説で感動したのですが、映画化するには30年を2時間で描かなければならない。これが4時間になればまた話は変わってきますが、プロデューサーは「絶対に2時間にしてください」と(笑)。どうやって描こうか考えましたが、お断りしようかと思うくらいに、うまくいくかどうか分からなかった。悩んだ末に考えついたのが、“回想を使わない”ということ。あえて回想は使わずに、2時間かけて観客と共に30年の動線を追っていく。そういう演出が許されるのであれば引き受けますと。完成した映画では1箇所だけ回想を匂わせる場面があるのですが、脚本作りの時はとにかく回想シーンを入れないよう頑張りました。



『架空の犬と嘘をつく猫』©2025 映画「架空の犬と嘘をつく猫」製作委員会


Q:30年という時がクロニクル的に描かれます。


森ガキ:よくあるクロニクルで嫌なのは、子供と大人の役者の顔が違うこと。それだと感情移入できないんです。それもあって今回は大人の役者に似ている子役を探すところから始めました。高杉真宙さん(山吹)、伊藤万理華さん(頼)、深川麻衣さん(かな子)、向里祐香(紅)さん、それぞれの子供の頃の写真をお借りして、それをもとに福岡、東京、大阪でオーディションを行いました。顔が似ている人を何人か絞り、そこから実際にお会いして雰囲気が合いそうな人を選んでいきました。山吹の場合は、小学生と中学生の少年時代の役の子と、高校時代の役の子の顔が奇跡的に似ていたので「これはいける!」と思ったのですが、紅役は残念ながら似ている子がいなかった。苦慮した結果、紅の小学生時代をやってもらった当時小学5年生だった子に、高校生役までやってもらいました。メイクや衣装をほどこして周りを高校生の友人で固めると、うまく高校生に化けましたね。これは新たな発見でした。 


Q:美術や衣装など、当時の再現はいかがでしたか。


森ガキ:美術デザイナーの中村三五さんが歴史に詳しく、すごく助けられました。衣装は、僕と同じ事務所・クジラの高木阿友子さんがやってくれました。彼女も年代物に詳しく、バッチリなものを集めてくれました。 





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