1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『災 劇場版』関友太郎監督&平瀬謙太朗監督 ドラマから映画へ、確信をくれた『ガンダム ジークアクス』【Director’s Interview Vol.537】
『災 劇場版』関友太郎監督&平瀬謙太朗監督 ドラマから映画へ、確信をくれた『ガンダム ジークアクス』【Director’s Interview Vol.537】

向かって左より平瀬謙太朗監督、関友太郎監督

『災 劇場版』関友太郎監督&平瀬謙太朗監督 ドラマから映画へ、確信をくれた『ガンダム ジークアクス』【Director’s Interview Vol.537】

PAGES


計6時間のドラマを“素材”として再構築



Q:連続ドラマとして作っている途中で映画化の話になったそうですが、映画化は最初から考えていたのでしょうか。


平瀬:映画になるということは、ドラマの脚本を作りながら考えつきました。6話分のプロットを書いたタイミングで、「もしかしてこれは、全然違う見せ方をすることで映画になるのでは?」という話になり、そこで一気に映画熱が高まりました。ドラマのフォーマットで脚本開発をしていましたが、どこか頭の片隅には「映画にできたらいいな」という思いもありました。


Q:全6話のドラマシリーズ(約6時間)を編集で2時間の映画に再構成されましたが、具体的にどのように進められたのでしょうか。


関:映画を作りたいからといって「ドラマの短縮版」をやろうとしたわけではありません。ドラマと映画では構造が全く違います。映画版では、まず群像劇としてバラバラの舞台が5~6個出てきて、観客はその関係性に意味を見出そうとするはずですが、見ていくと同じ男が全ての舞台に出てくる。その男はどこか不気味で、ストーリーが進むと一人ずつ人が死んでいく。かなり不気味な群像劇となっていくわけです。


映画版は2時間くらいを目安に編集を始めましたが、何しろ素材が6時間あるので、何を選んでどう並べていくかが課題でした。ただ一方で、これはまたとないチャンスだなと。通常、映画の編集は脚本を見ながら繋いでいきますが、今回は「映像の素材」が全てある。その映像を「原資」として見ながら、カットやシーンの繋がりを作っていくことができる。そのことで、今まで見たことのないリズムやトーンが生み出せるのではないかと。つまり、文字による構成に頼らずに映画を作ることができると思ったんです。映画版を作る際に簡単なプロットは作りましたが、脚本というものは存在せず、ドラマで撮った素材だけを見て繋いでいきました。1ヶ月半くらいは編集しましたね。



『災 劇場版』©WOWOW


結果として独特なものが生まれたかどうか、実は自分でもまだ分かっていません(笑)。比較対象となる「脚本で作ったバージョン」が存在しないため、具体的にどのような効果を生んでいるのかは未知数ですが、こういうアプローチも可能なのだと実践した感じです。


僕らはもともと、映像手法や構造といったアイデアを大切にして作っていますが、それは編集の段階で発見することが非常に多い。「こことここを繋ぐことで、狙っていた映像手法を観客に体感してもらえる」ということがよくあるんです。多くのクリエイターがそうだと思いますが、僕らも編集を重視しています。編集は観客に作品が届く一番手前の作業ですから、そこで「瑞々しいもの」を見つけることができれば、その鮮度はそのまま観客に届く。


撮影現場で発見したものは、僕たち制作者が「見つけた!」と思っても、観客にとっては「元々そういうものだった」と自然に受け取られがちで、意外と伝わりにくいことがあります。一方で、編集で見つけたものには強い力がある。これは今までの「5月」の活動における共同作業の経験に基づいています。他の人の意見によって、「そんな繋ぎ方があったんだ」という発見をすることがこれまで多々ありました。そうした経験があったからこそ、今回は「まず映像だけを見て、そこから編集を始める」という手法が面白そうだと感じ、試してみたのだと思います。


Q:答えがない中で、トライアンドエラーを繰り返すのは難しそうですね。


関:本当に全然分からなくて、最初に繋いだ時は「これで大丈夫かな…?」と。でも平瀬に見せたら「面白い!」と言ってくれて、そうやって励まされながら進めました(笑)。途中、どこに向かえばいいのか分からず、今より長いバージョンや、ドラマの第6話をバッサリ落としたバージョンなど、いろんなパターンを試しました。音楽を担当している豊田真之にも見てもらったら、「大切な作品だと思うから言うけど、このままじゃダメだと思う」と言われたりして…(笑)。だから何か閃いてこの形になったのではなく、ずっと戦い続け、巡り巡って今の形に着地した感じです。




PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『災 劇場版』関友太郎監督&平瀬謙太朗監督 ドラマから映画へ、確信をくれた『ガンダム ジークアクス』【Director’s Interview Vol.537】