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『レンタル・ファミリー』HIKARI監督 × ブレンダン・フレイザー 分断の時代に「家族」を描く意義【Director’s Interview Vol.539】

『レンタル・ファミリー』HIKARI監督 × ブレンダン・フレイザー 分断の時代に「家族」を描く意義【Director’s Interview Vol.539】

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主人公・フィリップの旅路



Q:フィリップは比較的温和で日本に馴染みやすい性格として描かれていました。異文化交流を描くにあたっては摩擦を起こさないキャラクターは珍しい気もしますが、彼のキャラクターはどのように作っていかれたのでしょうか。


HIKARI:プロットや脚本を書く段階では、特定の役者さんは想定せずに、とにかく物語を構築するようにしています。今回は脚本を書き上げてからブレンダンに出会い、そこでパッと映画のトーンが頭の中で出来上がりました。ブレンダンには、レンタルファミリーとはどのようなビジネスなのか、フィリップにはどのような背景があるのか、映画には描かれていないフィリップのバックストーリーを伝え、それだけで彼は素晴らしい演技をしてくれました。彼に惚れ込んでオファーをしたので、「これでお願いします」とお任せするような感覚でしたね。


フレイザー:フィリップは自分自身、つまり「より良い自分」を見つけるための探求の旅に出ている人です。おそらく彼には、父親との関係に起因する事情があり、故郷を離れてきたのでしょう。父性の問題や、どこかに属したいという欲求、そして経済的な理由も絡んでいるはずです。彼は過去7〜8年の間アメリカを離れていますが、それには明確な理由があるはずなんです。



『レンタル・ファミリー』©2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.


彼は迷い、さまよいながらも、自分自身が持つ才能だけを頼りに生きています。決して優れた俳優ではありませんが、なんとか生き延びようと挑戦を続けている。彼が世間に認知されているのは、過去に出演した歯磨き粉のCMによるものですが、それはおそらく彼自身の本意ではありません。それでも、レンタルファミリーを通じて様々な人と出会うことで、彼がそれまで演じていた偽りや虚構の生き方が変わっていきます。人々と接する中で、真に純粋で本物の自分へと変化していくのです。そこで、人生で初めて本当のつながりを築き、その真のつながりから得られる心の充足を実感します。


そして、物語の結末までに彼が学ぶことは、彼がずっと求めていた充実感は「自分自身の内面から来るものだ」ということです。柄本明さん演じる喜久雄に出会って、「自分の父親になってほしい」という思いも多分あったのでしょう。喜久雄の言葉に導かれて、内なる自分を見つめることで、「これで自分は良かったんだ」と気づいていく。それが彼の旅路なのです。




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