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『レンタル・ファミリー』HIKARI監督 × ブレンダン・フレイザー 分断の時代に「家族」を描く意義【Director’s Interview Vol.539】

『レンタル・ファミリー』HIKARI監督 × ブレンダン・フレイザー 分断の時代に「家族」を描く意義【Director’s Interview Vol.539】

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レジェンド・柄本明から学んだもの



Q:フィリップとセックスワーカー(ローラ/演:安藤玉恵)との触れ合い・交流がごく自然に描かれますが、そこに込めた思いを教えてください。


HIKARI:セックスワーカーといった社会の表舞台に出てこない人たちは、東京だけでなく世界中で必要とされている存在です。しかし、映画のストーリーに登場すると、少し懸念される立場として描かれがちです。それはやはり、社会的な差別から来ているのだと思います。私は人種差別に限らず、あらゆる差別が大嫌い。そういった偏見を取っ払いたいという強い思いがありました。そういう人たちも皆、私たちと同じ一人の人間。彼らをごく普通に描くことで、社会からもっと理解を得られるのではないかという気持ちがありました。


また、そういった職業が映画で扱われる場合、テーマが暗かったり辛かったりすることが多いですよね。もちろん、そういった厳しい現実も絶対的にあると思います。しかし、そういった暗い描写の映画ばかりだと、イメージもどんどん暗くなってしまう。本作においては、フィリップはローラを必要としているし、彼女はある意味で彼にとってのセラピストのような存在なのです。


ブレンダン・フレイザー:フィリップとローラは、似たもの同士。彼らは二人とも、社会のアウトサイダーなのです。確かに取引的な意味合いはあり、彼らは互いのニーズを満たし合っています。しかし彼女が指摘するように、「私はあなたを肉体的に助け、あなたは人々を感情的に助けている。それは同じことよ」ということです。二人ともその役割を心から楽しんでいます。ローラを演じた安藤玉恵さんも素晴らしかったですね。



『レンタル・ファミリー』©2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.


Q:日本が誇る名優の柄本明さんも出演されています。柄本さんとの仕事はいかがでしたか。


HIKARI:柄本さんのことは大好きだったので緊張しました。オーディションに来ていただいたのですが、入ってきた瞬間に貫禄がすごかった。でも撮影は楽しかったです。「監督って変態だね。ヒヒヒ」ってよく言われていました(笑)。英語のセリフも多かったのですが、毎日ダイアレクトコーチと一緒に練習してくださいました。うまく英語が喋れなくても感情はそこにあるから、何を考えているのか表情だけでわかるんです。本当にすごかったですね。アドリブもたくさんやってくれて、私がくどく、ああしてほしい、こうしてほしいという事全てにしっかり対応してくださって、柄本さんのどっしりとした存在とお芝居をカメラを通じて見ているだけで楽しかったし、幸せでした。


フレイザー:柄本さんは役者の中の役者です。すごく集中力があってユーモアも持っている。毎朝エクササイズをされていたので、僕も横で真似していました(笑)。まるで先生のようでしたね。ご自分が座長を務めている劇団があるほどのレジェンドにもかかわらず、ちゃんとオーディションにも参加する。仕事を妨げるエゴのようなものが無いんです。素晴らしい役者さんですよね。言葉やセリフも大事だけれど、やっぱり「感情、気持ち、意図」が重要になってくる。それを今回学ばせてもらいました。


Q:神社のシーンでの鏡の描き方に驚きました。日本でも不思議とあまり描かれてこなかったのではないでしょうか。


HIKARI:あの鏡は、自分自身の中にも神様がいて、自分も神聖な存在(divine being)であり、私たち人類すべてが尊い力を持った存在であるという意味があります。また同時に、「太陽」の象徴でもあり、「神様は太陽である」という意味も込められています。そのことが観客の皆さんに届けばいいなと思っています。


人間は何だってできるんです。「できない」と思い込んでしまうのは、過去の経験がそう言わせているだけで、本来人間は何だってできるはず。神様だって何でもできる。それと同じなのだというメッセージを込めました。




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監督、共同脚本、プロデュース:HIKARI

監督 大阪出身。ダンサー、ミュージカルパフォーマー、画家、写真家としての経歴を持つ受賞歴のある脚本家、監督、プロデューサー。映画『37セカンズ』で長編映画監督としてデビュー。同作は第69回ベルリン国際映画祭でプレミア上映され、パノラマ観客賞、CICAEアートシネマ賞のW受賞の快挙を達成。最優秀新人監督賞にもノミネートされるなど世界的に高い評価を獲得した。テレビ作品として、エミー賞® 受賞シリーズ「BEEF/ビーフ」の第一話監督、「TOKYO VICE」などがある。第50回トロント国際映画祭で今最も注目されるクリエーターに贈られるEmerging Talent Awardを受賞し、名実ともに世界が注目する映画監督に名を連ねたほか、第76回ベルリン国際映画祭コンペティション部門の審査員も務めた。


ブレンダン・フレイザー

1968年12月3日生まれ、アメリカ合衆国インディアナ州インディアナポリス出身。90年代に『原始のマン』『青春の輝き』などに出演して注目を集めた後、『ハムナプトラ 失われた砂漠の都』が大ヒットして世界的なスターになる。そのほか製作総指揮も務めた『センター・オブ・ジ・アース』、『G.I.ジョー』など、数々の作品に出演。2022年には、ダーレン・アロノフスキー監督作『ザ・ホエール』で観る者を圧倒する演技を披露して、アカデミー賞の主演男優賞を獲得した。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成




『レンタル・ファミリー』

2月27日(金)公開

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

©2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

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