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『脛擦りの森』人物デザイン監修・衣裳デザイン:柘植伊佐夫 クリエイティブとは自分に正直であるべき【CINEMORE ACADEMY Vol.48】

『脛擦りの森』人物デザイン監修・衣裳デザイン:柘植伊佐夫 クリエイティブとは自分に正直であるべき【CINEMORE ACADEMY Vol.48】

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岸辺露伴は動かない』シリーズの渡辺一貴監督が手掛ける初のオリジナル作品『脛擦りの森』。同シリーズで長年タッグを組んできた渡辺監督と主演の高橋一生が絶大な信頼を寄せるのが、本作でも人物デザイン監修・衣裳デザインを務めた柘植伊佐夫氏だ。柘植氏は1979年から美容業界で活動、1999年に手塚眞監督『白痴』でヘアメイク監督を務めて以降、『龍馬伝』(10 TV)、『精霊の守り人』シリーズ(16-18 TV)、『シン・ゴジラ』(16)、『翔んで埼玉』(19)、『10DANCE』(25)など、様々な映画、ドラマでヘアメイク監督、ビューティーディレクター、キャラクターデザイン、人物デザイン監修などを務めてきた。


柘植氏が描く人物デザイン画は、まるで美術作品のような圧巻のクオリティ。人物設定の枠を超え、作品の世界観までをも醸し出している。今回、柘植氏はいかにして『脛擦りの森』に挑んだのか。話を伺った。



『脛擦りの森』あらすじ

人里から離れた深い森で、足に傷を負った若い男(黒崎煌代)は、女の甘い歌声に導かれ、古めかしい神社にたどり着く。そこには謎の男(高橋一生)と、若く美しい妻・さゆり(蒼戸虹子)が暮らしていた。傷の手当てを受けながら、若い男はこの場所で夢のような、時の止まったような時間を過ごす。繰り返される穏やかな日々、すべては永遠に続くかに思えたが……。


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解釈の振り幅は大きく



Q:本作は渡辺一貴監督のオリジナル作品ですが、脚本を読んだ感想はいかがでしたか。


柘植:激しい起承転結があるわけではないので、視覚的な力が雄弁な作品になるだろうと思いました。ロケーションから醸し出される空気感やキャラクターたちの佇まいが、言葉と同等の何かを発するのだろうと。“余白の美”も感じました。


Q:劇中ではセリフもほとんどありません。


柘植:だからこそ作品を観た観客は、あの場所の空気感や時間そのものを共有し捉えることになると思います。


Q:脚本を読んでいる段階で人物や情景は具体的にイメージされていましたか。


柘植:私はすぐにイメージが出るタイプで、脚本を読むといつも人物像が浮かびます。今回は神社や森、洞窟があり、そこを一種の境界線(はざかい)にすることはお聞きしていたので、そうした要素も含めてビジュアルは浮かんでいました。



『脛擦りの森』©『脛擦りの森』プロジェクト


Q:脚本を読んだ後、監督とはどのような話をされるのでしょうか。すでにイメージなどを用意されているのでしょうか 。


柘植:初めは何もない状態で話し合い、その後すぐに絵を描いて提案します。最初からすべてを出し切るわけではなく、やり取りを通じて詳細を決めていきます。例えば、高橋一生さんが演じる男の軍服姿などは、途中で出てきたアイデアでした。他にも、長靴を履かせることや、さゆりに巫女の緋袴を着せるアイデアなども同じタイミングくらいで出てきたものです。


Q:監督によっては、人物のイメージが固まっている方もいれば、柘植さんにお任せする方もいると思いますが、渡辺監督はどういったタイプなのでしょうか。


柘植:『岸辺露伴は動かない』シリーズなども含めて、人物デザインに関しては比較的お任せいただくことが多いです。監督と私の間で認識のズレが少ないのかもしれません。ただし提案する際には、幅を持たせて複数のアイデアを出しています。中には、振り幅としてかなり突拍子もないアイデアを入れることもあります。脚本の解釈として「こちらの方向性も、あちらの方向性もある」と両方のパターンを提示しているわけです。「さすがにこれは無いかな…」と笑ってNGになることもありますが、気分を害されるようなことはありません。私自身も「こんな格好をしていたら面白いな」と笑いながら描いている部分もありますし、まずはアイデアを出してみて、それがはみ出しすぎているかは、一緒に確認できれば良いわけですから。


Q:“突拍子もないアイデア”が採用される場合もあるのですか。


柘植:もちろんあります。この方向性を受けてくれるんだと、驚くこともありますね(笑)。





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