『磯畑家の十年 二年目』後閑広監督 一年にー本作る短編映画、十年後には全てを繋げて長編に at SSFF & ASIA 2026【Director’s Interview Vol.564】
手に負える範囲内で、映画を撮る
Q:本作の制作背景を伺って、「こんなに自由な映画作りがあるのか」と驚かされました。
後閑:僕も生津さんも、それぞれ映画制作に関わる中で「映画作りはこうあるべきだ」という固定観念があったような気がするんです。しかし、経験を積んでいくと、ある瞬間に「今までの作り方に縛られなくてもいいのではないか」と気づくことがある。僕の場合は、機材の扱い方が分かってきたことで、出来ることが増えて自由度が上がってきた。本作を撮ってみたときに、「全然できるじゃん!」という実感があったんです。それが僕にとっては大きな発見で、視野が広がりましたね。
Q:自主制作映画は、資金面も含めて大変そうな印象があったのですが、覆されました。
後閑:やっぱり、楽しく撮れるのが一番いいなと思いますね。こんなに自由な映画作りは初めてでした。
Q:「ここだけは外せない」という、ルールはありましたか。
後閑:映画を作っていく上でのルールはなかったのですが、予算との兼ね合いが一つのルールだったのではないかと。ロケが多いとお金がかかるので、本作では家の中の会話劇を撮ることにしたんです。予算というルールの中で、何が面白いのかをちゃんと考えて、物語が成立するように作っていきました。「皆の生活を圧迫してまで、映画を撮るべきではない」という考えがあるので、無理に借金をして撮るようなことはしない。自分の手に負える範囲内で撮るということが、一番大事なんだと思います。
Q:前作と画角を合わせるなどのルールもなかったのでしょうか。
後閑:画角はビスタだったのですが、ルールは特になかったですね。前作の画角がどうだったのか、僕はもう覚えてないです(笑)。
Q:映画祭のスクリーンで、上映されるお気持ちはいかがですか。
後閑:自分たちが行き当たりばったりで楽しんで作っている映画を、皆さんに観ていただけることに驚いています。皆さんの感想をいただいて、今後の展開にフィードバックしていけたらいいなと思います。
Q:磯畑家の十年を見届けるために、自分たちも十年間頑張りたいと思います。
後閑:皆さんが健康でいることが一番大事です。「十年後、これを観よう」という目標で、生きていきましょう。
本作『磯畑家の十年 二年目』は6月30日火曜日までオンライン視聴が可能です。詳しくは「SSFF & ASIA 2026」の公式サイトをご確認ください。

監督:後閑広
1984年 群馬生まれ。東京藝術大学大学院映像研究科修了後、黒沢清監督、周防正行監督、矢口史靖監督作品のメイキングを手掛ける。主な作品としては、ドキュメンタリー映画『内子こども狂言記』(20)、Showroom 短編映画『××さん』(20)。『2代目藪原 検校』(21)が Polish International Film Festivalなどの映画祭で受賞。ディズニープラス配信ドラマ『シコふんじゃった!』第6話を監督・共同脚本。
取材・文:CINEMORE編集部
SSFF & ASIA 2026 公式サイト:https://www.shortshorts.org/2026/