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ハロウィン間近!ユニバーサル・モンスターになろう【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.12】

ハロウィン間近!ユニバーサル・モンスターになろう【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.12】


ウロコのある恋人の顔





 今年はギレルモ・デル・トロ監督作『シェイプ・オブ・ウォーター』がアカデミー作品賞に輝いたこともあり、この映画をハロウィンのテーマに選ぶひとも少なくないだろう。というわけで、そのインスピレーション元である『大アマゾンの半魚人』にも注目したいところ。全身緑色の半魚人ギルマンは、フランケンシュタインの怪物やドラキュラ同様、ポップカルチャーに浸透したアイコン的キャラクターだろう。


 透明人間や怪物の花嫁に比べると着ぐるみ度はだいぶ上がるけど、『シェイプ・オブ・ウォーター』で盛り上がった年だからこそやりたいモンスター。お馴染みのキャラクターだからマスクや衣装は市販のものがあるだろうし、時間があれば自作してみるのも楽しいはず。映画で使われた実際のスーツは、ああいう衣装にありがちな通気性や視界の問題があったようだが、水中を泳ぐシーンは滑らかで美しい。『シェイプ・オブ・ウォーター』のクリーチャーは種族を超えた恋に説得力を持たせるため、女性にとって魅力的になるようデザインされたが、ギルマンもまた不気味さと官能的な雰囲気を兼ね備えている。衣服をつけていない、生物としてのモンスターであるところも、キャラクターとして受け入れやすいところだと思う。夜会服姿の怪人よりもポップなイメージが強く、特定の衣装がないということは、特定の時代感を持たないということでもあるので、時代を経ても古くならない。ギレルモ・デル・トロによって再創造され、観客を再び魅了したことからもそれは明らかだ。 

 

 魅力的なギルマンの頭部をデザインしたのは女優にしてイラストレーター、ディズニー初の女性アニメーターでもあったミリセント・パトリックだった。ボディ・スーツはジャック・キーヴァンの作で、クレジットされたのはメイクアップアーティストの名前のみだったということもあり、長らくミリセントの名前は隠れてしまっていたという経緯がある。頭部だけとは言えその顔は半魚人の代名詞となり、末裔である『シェイプ・オブ・ウォーター』の不思議な恋人の顔にも受け継がれていく。ギルマンの恋は叶わずに終わるが、新しいクリーチャーはサリー・ホーキンス扮するヒロインと惹かれ合う。ミリセントが恋に落ちる可能性を意識してギルマンの顔を考えたかどうかはわからないが、厚い唇を持つ半魚人の顔は単に不気味でグロテスクなだけではなく、艶かしさを持っているように思う。


 現在のモンスターやクリーチャーたちに大きすぎる影響を与えてきたユニバーサル・モンスターズ。古典的なキャラクターには不変にして普遍のイメージとパワーがあり、唯一無二の存在だ。今年のハロウィンの夜は、彼らの姿を借りて過ごしてみてはいかがだろうか。



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イラスト・文:川原瑞丸

1991年生まれ。イラストレーター。雑誌や書籍の装画・挿絵のほかに映画や本のイラストコラムなど。「SPUR」(集英社)で新作映画レビュー連載中。 

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