1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『プライベート・ケース』レベッカ・ズロトヴスキ監督 フランス映画の作家主義を受け入れたジョディ・フォスター【Director’s Interview Vol.577】
『プライベート・ケース』レベッカ・ズロトヴスキ監督 フランス映画の作家主義を受け入れたジョディ・フォスター【Director’s Interview Vol.577】

『プライベート・ケース』レベッカ・ズロトヴスキ監督 フランス映画の作家主義を受け入れたジョディ・フォスター【Director’s Interview Vol.577】

PAGES


映画『美しき棘』(10)や『プラネタリウム』(16)などで知られるフランスの気鋭、レベッカ・ズロトヴスキ監督。最新作となる心理サスペンス『プライベート・ケース』では、名優ジョディ・フォスターを主演に迎え、患者の死の真相を追う精神分析医の姿をスリリングに描き出す。パリを舞台にした本作、ジョディ・フォスターは全編フランス語で挑んでいる。


今年3月開催のフランス映画祭で来日したレベッカ・ズロトヴスキ監督にインタビューを実施。精神科医と映画監督の意外な共通点や、ジョディ・フォスターとの撮影秘話、さらには巨匠フレデリック・ワイズマンを起用した深い理由まで、本作に込めた思いを語ってもらった。



『プライベート・ケース』あらすじ

パリで活躍するアメリカ人精神分析医・リリアン(ジョディ・フォスター)は、長年診てきた患者ポーラ(ヴィルジニー・エフィラ)の突然の死を知らされる。診察の中でその兆候は見られず、ポーラの死は殺人ではないかと疑い始める。一方、突然涙が溢れ出る異変に悩まされるようになったリリアンは、やむをえず眼科医の元夫ガブリエル(ダニエル・オートゥイユ)を訪ねる。元夫を巻き込みながら探偵まがいの捜査に乗り出したリリアンは、やがて危うい真相へと踏み込んでいく――。


Index


精神科医と映画監督、その共通点



Q:多くの人の物語に触れるという点では、精神科医と映画監督は似ているかもしれません。今回、精神科医を描くことはいかがでしたか。


ズロトヴスキ:精神科医と映画監督という職業には、確かに共通点があると思います。これまでの映画に登場してきた精神科医のキャラクターは、サイコパスやコメディのキャラクターとして描かれることが多く、しばしば魅力的な人物に映ります。しかし実際の彼らは、主に「部屋の中で診て、そして聞く人」です。


私がこの映画で興味を持ったのはそれを逆転させること、つまり、「話す人(患者)を沈黙させ、普段は黙っている人(精神科医)を話させること」でした。診察室というのは非常に強力な演出の場でもあります。患者が横になるソファーなど、フェティッシュな配置がなされており、人々のファンタジーや抑圧されたもの、否定、そして欲望が表現される場所です。つまり純粋なリビドー(性的欲動)の場所であり、私にとってそれは自分の職業と非常に結びついているものです。ただし、映画監督は誰も治療しないので、共通点はそこまでですけどね。ちなみに、私の精神分析医はデヴィッド・リンチとフェリーニです(笑)。



『プライベート・ケース』©LES FILMS VELVET ‐ BUENOS HAIR ‐ FRANCE 3 CINEMA


Q:今話された「逆転」の意味でも、ジョディ・フォスター演じる精神科医のリリアンが途中から動揺していくところは面白かったです。


ズロトヴスキ:その意見はジョディにも聞かせたいですね(笑)。最初はあれほど強く厳格だったリリアンが動揺し、完全に道に迷っていくのを見るのはとても興味深かった。心が揺さぶられるようでしたね。それこそが、ジョディがこの役に興味を持った点なのだと思います。


ジョディは人生において「パワフルな女性」を作り上げることに時間を費やす時期を過ぎて、今は確固たる権威とカリスマ性を持つ時期に達したと思います。そして今の年齢で、完璧に知ってはいるものの母国語ではないフランス語を全編で話すことを自分に課しました。女優にとってそれは、あえて脆弱性を晒す要素となります。足場を失っていく女性の役を演じることも同様です。この役を演じるには、彼女自身が非常に強くなければならないですから。




PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
counter
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『プライベート・ケース』レベッカ・ズロトヴスキ監督 フランス映画の作家主義を受け入れたジョディ・フォスター【Director’s Interview Vol.577】