2019年公開のサバイバルホラー『レディ・オア・ノット』は、結婚初夜に花嫁が夫の一族から命を狙われるという大胆な設定と、ブラックユーモアを交えた容赦のない残酷描写で、またたく間にホラーファンの支持を集めた。日本では劇場公開こそ見送られたものの、ソフトや配信を通じて口コミが広がり、サマラ・ウィーヴィング演じるグレースは現代ホラーを代表するヒロインとなった。
晴れて劇場公開となった続編『レディ・オア・ノット2』では、悪魔ル・ベイルとの契約を軸に、一族同士の覇権争いへと物語は拡大。前作以上のバイオレンスとブラックユーモアに加え、長年疎遠だった姉妹の絆を描くドラマが新たな軸となっている。
そんな本作を手がけたのは、"レディオ・サイレンス"の異名をとる、マット・ベティネッリ=オルピンとタイラー・ジレットの監督デュオ。オムニバスホラー『V/H/S シンドローム』(12)への参加で頭角をあらわし、『レディ・オア・ノット』でブレイク。その後も『スクリーム』(22)、『スクリーム6』(23)、そして『アビゲイル』(24)と話題作を連発し、現代ハリウッド・ホラーを牽引する存在となった。そんな彼らの最新作『レディ・オア・ノット2』について、今回話をうかがった。
『レディ・オア・ノット2』あらすじ
血に染まった“ゲーム”を奇跡的に生き延びた花嫁グレース(サマラ・ウィーヴィング)。だが、悪夢はまだ終わっていなかった。その生還劇は闇に潜む、世界の支配者たちの目に留まり、彼女は再び標的として選ばれる。新たな舞台は、選ばれし名家が覇権を争う禁断の領域〈カウンシル〉。そこでグレースを待ち受けていたのは、想像を絶する、絶対に勝ち抜かなければならない殺戮ゲームだった!ゴールはただひとつ「夜明けまでにグレースを見つけ、殺せ」――。ゲームに参加するのは、狂気と欲に取り憑かれたハンターたち。そしてグレースにとって唯一の味方は、長年絶縁状態だった妹フェイス(キャスリン・ニュートン)だけだ。しかし二人は手錠で繋がれ、逃げる自由すらままならない。極限状態のなか、彼女たちは生き残りをかけ、家族の絆さえも試されることになる。
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世界は拡がっても、描きたいのは人間
Q:前作『レディ・オア・ノット』は純度の高いサバイバルホラーでしたが、『レディ・オア・ノット2』ではさらに神話的な世界観へと発展していますね。このシリーズは今後、どこまでスケールアップできると考えていますか。
ジレット:僕たちは昔から、映画の中ですべてを説明してしまう作品よりも、その外側にもっと大きな世界が存在していると感じられる作品に惹かれてきました。一度で世界の隅々まで説明するより、「まだ何かがあるに違いない」と観客に想像してもらえるほうが、ずっと面白いと思うんです。
前作のラストでは、呪いも悪魔も実在することが明らかになりました。そうした世界を前提に続編を撮るのは、とても刺激的な経験でしたね。でも僕たちの関心は、神話を際限なく広げることではなく、むしろ、その神秘性をどう保つかにあったんです。
だから今回も、描きたかったのは神話そのもの以上に、その世界で生きる者たちの姿でした。物語の中心にあるのは、グレースとフェイスという二人の姉妹の関係であり、『レディ・オア・ノット』というシリーズのアイデンティティも、巨大な世界観ではなく、そこで必死に生き残ろうとする人物たちにあると思っています。

『レディ・オア・ノット2』©2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.
Q:前作でグレースは、生き延びるために戦う女性でした。しかし今回は、彼女自身が伝説や神話のような存在として語られています。この変化を、ヒロイン像としてどのように考えましたか。
ベティネッリ=オルピン:当初から決めていたのは、彼女をいきなり超人的な存在にはしたくない、ということでした。
あの恐ろしい一夜を経験した一人の女性が、その出来事を経て人生をどう取り戻していくのか。その過程を描きたかったんです。復讐だけが目的ではなく、妹を救い、もう一度家族とのつながりを取り戻そうとする。そういう物語にしたいと思いました。幸せだけれど少し世間知らずだった女性たちが、過酷な経験を経て、自分の力で人生を切り拓いていく姿を描いています。
もちろん今回は、彼女をできる限りとことん追い詰めています。次々と障害を与え、強大な敵を立ちはだからせる。でも、それを乗り越えるのは超人的な力ではありません。彼女自身の知恵と勇気です。そういう意味では、とても古典的な、神話の英雄に近いキャラクターになったと思っています。