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設定と現実のあいだを生きるおもちゃたちー『スモール・ソルジャーズ』【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.75】

設定と現実のあいだを生きるおもちゃたちー『スモール・ソルジャーズ』【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.75】

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おもちゃが動き出すことへの理屈が一夜の大騒動に



  大好きなおもちゃ映画がある。おもちゃが意思を持ち、人間の見ていないところで動き出し、仲間たちとともに困難に立ち向かい、ときに人間をこらしめ、ときに人間と心を通わせ、ついにはおもちゃであることを自覚しながらも居場所を求めて旅立ちさえする。おもちゃで遊ぶ子どもの頃に観ても、その記憶とともに大人になってから観ても印象に残る作品。もうおわかりだろう、そう、ジョー・ダンテ監督作『スモール・ソルジャーズ』(98)だ。


 軍事用ハイテク機器を開発する軍需企業グロボテック社が、玩具会社ハートランド・プレイ・システムズを買収することから物語は始まる。玩具デザイナーのアーウィンとラリーはそれぞれの玩具企画を新たなボスであるグロボテックの社長ギル・マースにプレゼンするが、マースは見せられたCMのイメージ通りに自分で動いて人と会話もできる商品の開発を命じ、ラリーによる軍人フィギュア「コマンドー・エリート」を主役に、アーウィンの子どもと一緒に学習することをコンセプトにしたクリーチャー戦士「ゴーゴナイト」を敵役という設定で、大雑把にもひとまとめにしてしまうのだった。


 かくしてグロボテックの提供したハイテク技術により、これまでにない自律的な高性能フィギュアが開発されることになった。工場でそのボディが成型され、マイクロプロセッサーを搭載されていくオープニング・シーンが素晴らしい。1990年代のアメリカのおもちゃらしい、大きなパッケージに詰められて出荷され、父親の玩具店で店番する主人公アランのもとにやってくるという流れだ。


 自由に動き回るおもちゃたちは、CGと実物の人形との組み合わせによる。同時代、同テーマの『トイ・ストーリー』(95)と同じく、プラスチック製の質感と当時のCGとがうまく合致しているほか、実際にアクションフィギュアそのもののようなパペットが操演されているのも非常に理にかなっている。人形にデジタル補正が加わることによって、本当に人間のいる実空間でおもちゃが生き生きとしているように見える。俳優とおもちゃの共演という点も本作の魅力だ。


 当時のおもちゃ文化の空気が凝縮されたかのようなキャラクター・デザインも、商品としての実在感があって良い。コマンドー・エリートのリーダーであり、ほぼタイトルロールと呼んでいいアイコニックなチップ・ハザードはムキムキの体型、隠そうともしない関節、くどいほどの迷彩柄と彫刻された装備に身を包んだ、まさに往年の兵士のアクション・フィギュアといった姿。そんな彼が無駄に大きなパッケージの透明プラスチック窓を自力で突き破って外に出てくるシーンは、インパクト大で象徴的な瞬間だ。


 彼らがそんな芸当をやってのけるのは、搭載されたコンピュータ・チップによって自律的に思考し、行動できるようになっているからだ。『トイ・ストーリー』にも描かれる「人間の見ていないところでおもちゃたちが動き出す」という古典的なファンタジーに、もっともらしい理屈を与えたような具合である。


 ただし、彼らに搭載されたのはグロボテックが開発した軍用マイクロプロセッサーだったから、大変なことに。マース社長の要求するクオリティと納期に追われたラリーが、かなり大雑把にこのチップを選んでしまった結果、コマンドー・エリートたちは自分たちに与えられたキャラクター設定を「忠実に」実行することになり、それが大惨事を引き起こすことになる。




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