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60歳になったら監督を辞めるつもりだった『半世界』阪本順治監督【Director’s Interview Vol.19】

60歳になったら監督を辞めるつもりだった『半世界』阪本順治監督【Director’s Interview Vol.19】

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60歳で辞めるつもりだった



Q:監督は今年でデビューから30年ですが、今後はどういうものを撮っていきたいですか。


阪本:こんなに恵まれた環境にいて、不遜なんですが、60歳がだんだん近づいてきて、監督辞めようかなって思ってたんです。ずっと同業者にも「俺、辞めるつもりでいる」とか言ってたんですよ。もう一度ゼロから修練して今まで逃げ腰だった分野を目指すのはどうだろうか、と。で、本当に60歳になったその日に「このまま辞めたら悔しいな」っていう思いが出てきて。若い監督たちには頑張ってほしいし、すごい作品作る若者もいるけど、でもそんな作品に対して「何それ」っていう感情も残ったまんまだし。今の日本の映画界に対しての疑問もたくさんあるしね。やっぱりそういうものを、自分の中に残しながら転職するのはどうなんだって、60歳になった瞬間に思いましたね。もう少し続けようというより、やめるときは、いろいろ自分の心にわだかまってるものを全部解消したときに辞めようと。てことは、ずっとやるかもしれないってことだね(笑)。




Q:そうですね。今まさに聞こうと思ってました「その時は、来るんですか?」って。


阪本:ハードル高くして、その瞬間に辞めてやろうかなと(笑)。いや、辞める前に辞めさせられるかも。あはは。


Q:今日はとても面白い話が聞けました。ありがとうございます。


阪本:とんでもないです。




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監督:阪本順治

1958年生まれ、大阪府出身。大学在学中より、石井聰亙(現:岳龍)、井筒和幸、川島透といった“邦画ニューウェイブ”の一翼を担う監督たちの現場にスタッフとして参加する。89年、赤井英和主演の『どついたるねん』で監督デビューし、芸術推奨文部大臣新人賞、日本映画監督協会新人賞、ブルーリボン賞最優秀作品賞ほか数々の映画賞を受賞。満を持して実現した藤山直美主演の『顔』(00)では、日本アカデミー賞最優秀監督賞や毎日映画コンクール日本映画大賞・監督賞などを受賞、確固たる地位を築き、以降もジャンルを問わず刺激的な作品をコンスタントに撮り続けている。昨年は斬新なSFコメディ『団地』(16)で藤山直美と16年ぶりに再タッグを組み、第19回上海国際映画祭にて金爵賞最優秀女優賞をもたらした。その他の主な作品は、『KT』(02)、『亡国のイージス』(05)、『魂萌え!』(07)、『闇の子供たち』(08)、『座頭市 THE LAST』(10)、『大鹿村騒動記』(11)、『北のカナリアたち』(12)、『人類資金』(13)、『ジョーのあした─辰



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。





『半世界』

2019年2月15日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

脚本・監督:阪本順治

出演:稲垣吾郎、長谷川博己、池脇千鶴、渋川清彦、ほか

配給:キノフィルムズ 

(c)2018「半世界」FILM PARTNERS

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