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60歳になったら監督を辞めるつもりだった『半世界』阪本順治監督【Director’s Interview Vol.19】

60歳になったら監督を辞めるつもりだった『半世界』阪本順治監督【Director’s Interview Vol.19】

 1989年『どついたるねん』の監督デビューから30年、日本映画界の第一線を走り続けてきた阪本順治。そんな監督の最新作『半世界』は稲垣吾郎を主演に迎え、長谷川博己、池脇千鶴、渋川清彦を中心に、家族と友人たちの営みを見つめた希望の物語。これまでの映画作り、役者との関係、現場スタッフとの関係、そして驚きの引退にまつわる話まで、たくさんの興味深い話が詰まったロングインタビュー。お楽しみください!


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描きたかった「普通の暮らし」



Q:今回は監督のオリジナル脚本ですが、普通の人々の暮らしを題材に選んだ理由を教えてください。


阪本:『人類資金』(13)ではニューヨークやタイの僻地、ウラジオストクに行き、『団地』(16)では宇宙に行き(笑)、そして前作の『エルネスト』(17)ではキューバに行き、5年間、それぞれ遠くの地で大変な思いをして撮影をしてきました。そうしてくると、やっぱり実家に戻りたいというか、日本の自然がたっぷりあるロケーションの中で仕事してみたいと思うようになったんです。反動といえば反動ですよね。越境しての撮影はやり切ったという。特にキューバで、オダギリジョーと。


 考えてみると、今回のような土着性のものをしばらくやってこなかったっというのもありますね。ごくごく普通の家庭っていうものを真ん中に物語を組み立てるという。ずっとさかのぼれば『魂萌え!』(07)とかになってくると思うんですけど、急に思い付いたわけじゃなくて、やはり自分がそういう所に戻りたいという感覚があったんですね。あと、普通の家庭の話と言いつつ、俺自身は結婚もしてないから、嫁も子どももいないんだけどね。


Q:そうなんですね。


阪本:うん。でも家庭の様子はよそさまでいっぱい見てきてるからね(笑)。普通の家庭が軸になってはいるけど、やっぱり映画ですから、何か物事は起きなきゃいけないんだけどね。



 

Q:普通の人々の暮らしを面白く見せるのは難しいと思うのですが、映画としてどう成立させたのでしょうか。 


阪本:どんな物語でも主人公はいるわけで、その人は必ず生き方の下手な人になってるよね、俺の場合。だって見る人は他人の成功例なんか見たくないわけだから。上手に生きられない人、人との関係をうまく作れない人、自分の思いを伝えるのが下手な人、そして人の気持ちを受け取るのがすごく下手な人。昔から変わらずそういう人を描いてきてると思う。映画は多少過剰に描いたりしてもいい世界だしね。



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