役者に「あて書き」されたキャラクター
Q:映画化までに、舞台版は何回くらい公演されていたのでしょうか。
玉田:その時点で、13~14回くらい公演していました。
Q:その時から、観客の反応など手応えはあったのでしょうか。
玉田:そうですね、結構面白がってくれる人も多くて。再演も決まったりしていたので、手応えは感じていました。
Q:キャスティングは舞台版とほぼ同じなんですね。
玉田:初演のキャストとほぼ全部同じです。今回の映画で太賀さんがやってくれた店員の役だけは、舞台では僕がやってました。また、村上虹郎くんがやってくれたのは映画版で追加した役です。
Q:なるほど、そうなんですね。キャラクター設定とキャスティングが絶妙でしたが、普段はどういう基準で役者を選ばれるのでしょうか。
玉田:普段の他の作品もそうなんですけど、演じる役者を先に決めて、その人を想定して「あて書き」することが多いんです。その人の普段の様子とかを見ながら、この人だったら、こういう状況ではこんなこと言うだろうなって、書いていくんです。あとは、絶妙に「言わない」ことも追加して書きますね。その人の本来のキャラクターをベースにしながらも、この人がこんなことと言ったら面白いんじゃないかとか、完全にその人に「あてた」キャラクターを作っていくんです。
舞台を見に来てくれた、役者の知り合いのお客さんたちは、結構そのままだったねって面白がってくれていました。あて書きが精度高く成功しているかなとは思っています。
Q:人物設定が役者のままということは、普段の自分通り演じてくださいって演出されるのでしょうか。
玉田:はい。そのままやってくださいという感じですね。
Q:それ、役者さんは、やりやすいんですか、やりにくいんですか、どうなんでしょう。
玉田:何か、やりやすいみたいですよ(笑)。
Q:なるほど。そうなんですね。
玉田:それぞれちょっとデフォルメはしているんですけどね。例えば社会人学生役の近藤強さんは、僕からしたら普段からあの役の感じなんですけど、本人的にはそんなつもりはないって言うんです。セリフで言っているような、あんな寒いことは自分は普段言わないって(笑)。本人はそう言うんだけど、いや、言ってるんですよね、絶対に(笑)。
だから、その「言ってるな」って思ってる部分が、僕だけが感じている部分であって、そこを僕はさらに拡大して書いてるんです。だから、役者の近藤さんからしてみたら、自分はそこまで言ってないけど、ちょっと、少しだけ無理して演じてみるか、みたいな。その部分を少しだけ強調してやろうって、それぐらいの、バランスを踏まえて演じてくれてると思います。
Q:あの社会人学生って、空気読めない感がすごいじゃないですか(笑)。ご本人もそうなんですか。
玉田:いや、でもあんな人なんですよね(笑)。まさにそんな感じです。