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緻密なアップデートを仕掛けた、舞台から映画への変換『あの日々の話』玉田真也監督【Director’s Interview Vol.26】

緻密なアップデートを仕掛けた、舞台から映画への変換『あの日々の話』玉田真也監督【Director’s Interview Vol.26】

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面白い演技を切り撮る



Q:なるほど。動線は確かに重要ですよね。カラオケボックスという限定空間が舞台にもかかわらず、カメラワークが素晴らしかったです。撮影の中瀬さんとは、どういうふうに話して撮影されたのでしょうか。確か、カラオケボックスはセットを組んだんですよね。


玉田:そうなんです。さすがに普通のカラオケボックスでは「引きじり」が無さすぎるので、劇場にセットを組んで壁も取り外せるようにしました。


 1週間ぐらいリハーサルをしたんですけど、中瀬さんにはそれに全部立ち会ってもらって、そのリハの様子をずっとぐるぐる回りながら見てもらったんです。それでカット割りのイメージを作ってもらいました。今回は演技を撮るっていう大きなテーマがあって、演技を面白く撮ろうとしたんですね。中瀬さんは演技が好きな人なんで、カメラを意識させないくらいにしようとしたんです。


Q:そうなんですね。すみません。カメラ良かったです(笑)。


玉田:撮影はもちろんいいんだけど、それよりも演技が面白かったと感じて欲しいと。現場でのカット割りとかはもうほぼ中瀬さんに任せていて、僕は演技をつけることに集中していました。監督とカメラマンの関係って色々あると思うんですけど、今回は、僕は演技をやる、中瀬さんはそれをどう撮るかって、完全に分業になってましたね。




Q:カメラは何台で撮影されたんですか。


玉田:1カメだけですね。


Q:ではアングルを変えて何パターンも撮影されたんですね。


玉田:そうですね。どんどん壁を外しながら、じゃあ次こっち、次こっち、じゃあ外しますーっていう(笑)。


Q:それは大変ですね。すごく色んな角度から撮ってる印象がありました。先の動線の話も然り、演技が面白いというのも、もちろんあるのですが、あの限定空間だけで全然飽きなかったなって思ったんです。見ていて意識が集中するところに、フォーカスがしっかり送られたりするのも素晴らしかったです。カメラ意識しちゃってすみません(笑)。


玉田:会話シーンはカットバックで撮ることがよくあると思うのですが、中瀬さんの場合は、レールを引いて移動しつつ、フォーカスも会話の相手にスッと移動させるんです。カットを割らずに一連の動きでその画を収めるんですよ。だから、助手のフォーカスマンはとても大変そうでした。「駄目だよ今のフォーカス!もう一回!」って中瀬さんに叱られてました。監督の僕がOK出してるのに、すみませんもう一回いいですかって(笑)。


Q:あの空間だと距離もそんなにないから、フォーカス送るのはかなり難しいですよね。


玉田:そうですよね。



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