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オカルト・アメコミ映画『コンスタンティン』の魅力【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.24】

オカルト・アメコミ映画『コンスタンティン』の魅力【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.24】

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異世界と隣り合わせの世界





 地獄のサタンにがっちりその魂をキープされてはいるものの、地上においては誰にもとらわれないし、どこにも属さない。孤独だがその分身軽なコンスタンティンの世界が魅力的だ。部屋の窓際に聖水を詰めたボトルをずらりと並べなければならないほど、常に魔物に狙われている危険はあるが、同時に一歩街に出れば普通は知られることのない世界と通じることができる。敵は少なくないが、不思議な世界に属する者たちとの付き合いもある。


 この作品において天界・現世・地獄の三つの世界は同時に存在して重なり合っており、天界と地獄の双方から人間の世界に干渉するための中間的存在「ハーフブリード」がエージェントとして送り込まれている。コンスタンティンのような限られた者は、人間に紛れて暮らしているハーフブリードたちの正体を見破ることができ、異世界の存在を垣間見ることができる。人間に干渉できることから、人間を惑わしたり悪さをしたりするハーフブリードもいて、そういうときはコンスタンティンが出ていってこらしめるわけだ。一見普通の世界の中に異世界の住人が紛れ込み、トラブルが起きたら対処するというのは、どこか魔術版『メン・イン・ブラック』といった具合もあって好きだ。


 ティルダ・スウィントン扮するガブリエルは、もしかするとコンスタンティンそのものよりも強い印象を残すキャラクターかもしれない。大天使ガブリエルと同名だが別人で、こちらは天界から送られてきたハーフブリードであり、いわば半天使である。ガブリエルは旧知のコンスタンティンに対し、彼が行なっている悪魔退治は結局は自分が地獄に堕ちたくないがために行なっていることであり、本当の善行ではないので、いくらやっても運命は変わらないと諭す。最初に登場した際のびしっと決めたスーツ姿もかっこいいが、終盤での天使の正装も大変似合っている。翼をつけた姿がこんなに様になるのはこのひとくらいではないだろうか。



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