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オカルト・アメコミ映画『コンスタンティン』の魅力【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.24】

オカルト・アメコミ映画『コンスタンティン』の魅力【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.24】

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今も輝くキャストたちと現在のコンスタンティン





 ガブリエルは半天使だが、ピーター・ストーメアが演じるルシファーは正真正銘のサタン、悪魔である。クライマックスで危機を脱するために機転を利かせたコンスタンティンによって呼び出されるのだが、その際には全身白スーツに裸足、眉なしという、人間の姿だが異様な雰囲気で登場する。挙動もどこか別の生き物が人間の身体を着ているといったようなぎこちなさがあって、不気味だった。サタンが降臨したと思ったら普通のおじさんじゃないか、という印象もあるかもしれないが、ここで変にクリーチャーが登場するよりは、静の怖さみたいのがあっていいと思うし、一体その人間の皮の下はどんなだろうかと想像を掻き立てられたりもする。なにより眉を剃って白スーツを着ただけで悪魔だと言い張れるほどのインパクトが、ストーメアにはあると思う。ジョン・ミルトンの「失楽園」のルシファーをこのひとを思い浮かべて読んだらさぞかっこいいだろう。


 天界と地獄のハーフブリードたちが集う中立地帯的なナイトクラブの店主で、ブードゥーの魔術師でもあるパパ・ミッドナイトも注目したいキャラクターだ。コンスタンティンがこのナイトクラブを訪れるシーンでは、彼の目線を通して店内にいる怪しげな客たちを見ることになる。『スター・ウォーズ:エピソード4 新たなる希望』のエイリアンが集う酒場のように、「その世界」の住人たちが集まっている社交場などを出すと、ひとつの場所でどういう世界観なのか、そこにどんなやつらがいるのかを説明できておもしろい。


 ミッドナイトを演じたジャイモン・ハンスゥは、マーベル映画の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『キャプテン・マーベル』にいずれも同一人物として登場しているし、『コンスタンティン』と同じDC映画でも、『アクアマン』で魚人族の王の声を、『シャザム!』では主人公にシャザムの力を与える魔術師を演じたりと、今でもアメコミ映画を脇で支える俳優のひとりだ。特に『キャプテン・マーベル』と『シャザム!』の両方に出ているのはおもしろい(『シャザム!』の原作コミックが初登場したときのタイトルが「キャプテン・マーベル」だったという不思議な関係がある)。


 ストーメアもまた、TVドラマ『アメリカン・ゴッズ』でスラブ神話の死神であるチェルノボーグを演じたりしていて、サタン役を思い起こさせる(サタンとチェルノボーグを演じるなんてすごいひとだ)。ティルダ・スウィントンにしても、マーベルの『ドクター・ストレンジ』でベネディクト・カンバーバッチ扮するストレンジの師匠を演じており、アベンジャーズの物語にも一枚噛んでいる。キアヌ・リーブスやレイチェル・ワイズの活躍が健在なのは言うまでもない。皆あれからあまり年を取っていないところに、なにかちょっとした怖さを感じもするのだが、今も輝き続けているメイン・キャストをそのままに、続編の希望が持てないだろうか?


 しかし、今更ながらジョン・コンスタンティンというキャラクターは、すでに現在のDC映像世界においてリブートされているのを知った。ドラマ・シリーズに登場するマット・ライアン扮するコンスタンティンは、ブロンドヘアにトレンチコートという、キアヌ版よりも原作に近い風貌。しかし、このドラマ・シリーズは1シーズンで今のところ打ち切られているらしい。今の「DCEU」にこのバージョンのコンスタンティンがいる限り、キアヌ版を再び展開することはないだろうけれど、コンスタンティンは形を変えて今も続いているということで。そして続きがあろうとなかろうと、やっぱり『コンスタンティン』という映画が好きだなと改めて思った。



イラスト・文:川原瑞丸

1991年生まれ。イラストレーター。雑誌や書籍の装画・挿絵のほかに映画や本のイラストコラムなど。「SPUR」(集英社)で新作映画レビュー連載中。 

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