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現代だからこそ、あえてコマ撮り。“実在感”あるビジュアルをいかに創造するか。国産ストップモーション・アニメ『ごん GON, THE LITTLE FOX』メイキングvol.1

現代だからこそ、あえてコマ撮り。“実在感”あるビジュアルをいかに創造するか。国産ストップモーション・アニメ『ごん GON, THE LITTLE FOX』メイキングvol.1

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ふたりの主人公 ごんと兵十



 ごんは山に住むひとりぼっちの小ぎつね。あたりの村に出てきてはしょっちゅう人間にいたずらをする。ある日ごんは、川でうなぎを採っている兵十に出くわす。いたずら心が湧いたごんは、兵十の採っていたうなぎを盗んでしまう。そのうなぎは兵十が病気の母親に食べさせる為のものだった。後日、兵十の母親が亡くなり、自責の念にかられたごんは、罪滅ぼしに山で採った栗や松茸をこっそり兵十の家に届けるようになっていく…。これが原作「ごんぎつね」のあらすじだ。


 今作で八代監督が新たな解釈を加えたのはまず、ごんのビジュアルである。彼はふたつの姿を持っている。原作通りの狐の姿。そして、人間の子供のような擬人化された姿。本編では、この二つの人形が実に効果的に使い分けられる。





 

 擬人化された姿のごん。少し口を突き出した、ふてくされたような表情は、彼の孤独な境遇ゆえなのだろうか。




 村の青年、兵十。原作では兵十の人物描写はほぼ皆無と言っていい。そのため、絵本などでもその外見は解釈が分かれるところだ。八代監督自ら彫り上げた兵十の顔は、朴訥として、どこか頼りなげ。瞳には優しさが垣間見える。ツギを当てた服からは、貧しい生活の一端が伺える。


 人形の中には金属製の球体関節やアルミ線などが仕込まれ、アニメーターが手で曲げてポーズを作れるようになっている。彼ら人形たちが役者となり、人形サイズのミニチュアセットの中で『ごん』の物語を紡いでいく。



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