一番好きな作品はこれです!
Q:完成した映画を見て、自分が表現したいことがバッチリできていると思いますか?
長久:思いますよ。僕は映画好きでたくさん映画を見てるんですが、一番好きな映画はこれですから(笑)。
Q:なるほど。それは素晴らしいですね!
長久:ゴダールの『あの映画』より、ハネケの『あの映画』より、大島渚の『あの映画』より、これが好きですね。はい(笑)。
Q:いろんな映画へのオマージュをすごく感じたのですが、「パクリ感」のようなものはなくて、全て長久カラーになっていたと思います。
長久:パクリとオマージュって難しいですよね。結構ギリギリのことをやってるなと自分でも思うのですが、その辺を調整しようとは意識していないんです。表面的には使わないようにしていて、その映画への愛情と敬意を持ってしか使っていません。そこはスタッフィングと同じ考えなんです。映画『ラ・ジュテ』(62)のオマージュをしているシーンもありますが、『ラ・ジュテ』のあの意味を映画に取り込ませていただきたいからこそ、お借りして増幅させてもらった。っていう感覚ですね。
Q:映画を見ているときは、オマージュにあまり気づかないんですよね。後から言われて「ああ確かにそうだった」って気づいたことの方が多いかもしれません。
長久:スチャダラをパクリと思って聞かないのと同じで、サンプリングミュージックに近い感覚ですね。元ネタに対する尊敬があるんです。今回の選曲に関しても、半分オマージュだったりするものが多いです。パクリかオマージュかって言われると、本当に難しいところですよね。
Q:今回、たくさんのベテラン役者さんに負けず、主演の4人が驚くほど良かったです。
長久:いいですよね。
Q:タケムラを演じた奥村門土くん(似顔絵屋さん。代表作「モンドくん」が有名)なんて、恥ずかしながら全然知らなかったのですが、これまで演技経験なかったとは思えないですよね。
長久:そうなんですよ。すごいですよね!あの演技。『御法度』の松田龍平みたいだなって思ってました(笑)。この子の演技は何だか映画的なんですよね。謎の色気があるんです。
Q:確かに色気がありますね。当時は14歳くらいですか?
長久:撮影の時が14歳で。いまが15歳ですね。
Q:主演4人の周りを固めたキャスティングも贅沢です。監督が役者さん一人一人に手紙を送って出演依頼したと伺いましたが。
長久:「もし気に入っていただいたらで構いませんので、お願いします!」って、前作の『そうして私たちはプールに金魚を、』と手紙を一緒にして、ひたすら送り続けていきました。予算も潤沢にあるわけではなかったので、ビジネスを超えた情熱の部分でお願いしたんです。役者さんも通常の邦画作品と違う情熱を期待して、受けてくださったんだと思います。