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『メン・イン・ブラック』の生きたエイリアンたち【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.25】

『メン・イン・ブラック』の生きたエイリアンたち【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.25】

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印象的な最初のエイリアン



 シリーズ第1作『メン・イン・ブラック』を見返したら、登場するエイリアンたちの生き生きした様子に改めて驚いた。1997年当時の特殊効果で描かれた宇宙の生き物たちは、今見ても全く見劣りしないと思う。シリーズを通してたくさんのエイリアンたちが登場するが、第1作目に登場するのは特に印象的で、その世界観を決定づけたキャラクターたちと言えるだろう。


 冒頭、星々が煌めく夜空にパブロ・フェロによる特徴的な書体のタイトルが登場し、ダニー・エルフマンによるミステリアスかつワクワクするテーマ曲が流れ、夜の道路をトンボが飛んでいく。フェロの書体とエルフマンの音楽が非常によく合っている。公式の「MIB」ロゴの印象も強いが、個人的にはここに登場する縦に細長いタイトルが好きだ。作品のベースとなっている怪しい都市伝説的な雰囲気が出ていると思う。


 飛んでいくトンボを追い続けるオープニングが終わると、あっけなくトンボはトラックのフロントガラスに衝突して潰れる(昆虫が潰れるイメージはラストまで覚えておくといいでしょう)。トラックには密入国者たちが乗り込んでおり、その中に最初のエイリアン、マイキーが紛れ込んでいる。


 このマイキーがまずとてもリアルな質感。なんだかぬらぬらしていて、触手までついているが、眼はかわいげで、最初に見せるにはとても印象的なヴィジュアルだ。実物の作り物とCGを効果的に混ぜているのもいい。ついでに彼が変装に使った地球人の頭部もリアルで怖い。生首を持ったまま黒服のエージェントたちから怒られている奇怪な生き物の図は、可笑しく、この映画がどういう世界観なのかを説明するには十分なシーンだろう。まずはエージェントの日常的な仕事を見せて、さらにそのあと新人エージェントJの目を通して、その詳しいディテールを語っていくという流れがスマートでわかりやすい。大勢の宇宙人たちが地球人に紛れて暮らしているという魅力的な世界を、全く無駄なく、テンポよく描いていると思う。



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