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ものづくりは本当に好きだけど、こんなに苦しいことはないと思って作っています。『Midnight / 0時』Jo Motoyo監督【Director’s Interview Vol.34】

ものづくりは本当に好きだけど、こんなに苦しいことはないと思って作っています。『Midnight / 0時』Jo Motoyo監督【Director’s Interview Vol.34】

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女優・山田真歩の集中力



Q:実際の映画では、自殺しそうな女の子はハッキリとは描かれません。それは何か意図があるのでしょうか。


Jo:この映画では、その女の子が電話をかける119番のオペレーターの方を主役に据えました。その方が、見てる人が共感できて感情移入できると思ったんです。本気で自殺を試みた人ってそんなに多くはいないと思うんですね。だからそこを中心に描いても感情移入できないだろうなと。ちゃんと自分ごととして見てもらいたかったこともあり、あえてオペレーターを主軸に描きました。また、女の子の直接的な描写を避けることで、見ている人の想像を掻き立てて、より濃密に描くことが出来たかなと思います。


Q:短い映画にも関わらず、オペレータールームの中だけでは完結せずに、オペレーター自身の日常描写も出てきます。


Jo:これも同じく、感情移入できる「隙間」を作りたくて日常描写を加えました。今回のオペレーターに限らず警察官などもそうなんですが、公的な立場にある人って機械的に描かれがちだなって思っていたんです。そういう人たちも普通の生活をしてる私たちと一緒なのですが、その辺は結構切り離して描かれがちだなって。そういう風に一方的な視点で描きすぎると、物事に対して多角的な考え方ができなくなるなって思っていました。




Q:実際にオペレーターを演じられた山田真歩さんとは、役作りについてどんな話をされたのでしょうか。


Jo:すごくタイトな撮影だったので、あまり話す時間はなかったのですが、山田さんは脚本への読み解きがすごかったですね。私が説明をする前に、「ここってこういうことを描きたかったんですよね。」「そういう時の感情ってこうですよね」って、確信めいた質問をしてこられて、本当にすごかったです。


Q:撮影前に打合せは?


Jo:それが都合がうまくつかず、山田さんには撮影現場で初めてお会いしました。


Q:では事前に渡しておいた脚本を読み込まれて、当日現場で確認する形になったんですね。


Jo:そうですね。山田さんは現場の集中力もすごくて、長時間にわたる撮影でも、最後まで集中力が全然途切れなかったですね。それもすごかったと思います。また、先ほど撮影現場で初めてお会いしたって言ったんですが、実は私は彼女の作品をずっと追いかけてて、昔実際にお会いしたこともあったんです。大学生の頃バイトをしてた映画館で、山田さん主演の『SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』(10)の舞台挨拶があって、その時に山田さんをスタッフとしてお手伝いしていました。山田さんは私のことを知らないけど、私は一方的にサポートしてて存じ上げていたんです(笑)。


Q:なるほど、そうなんですね。そのことは山田さんとは話されたんですか?


Jo:撮影が終わった後、実は…、みたいにお伝えしました。そうだったんですかー!って驚かれてましたね(笑)。



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