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  3. カメジローの言葉や生き様を通して「今」が見えてくると思います。『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』佐古忠彦監督【Director’s Interview Vol.37】
カメジローの言葉や生き様を通して「今」が見えてくると思います。『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』佐古忠彦監督【Director’s Interview Vol.37】

カメジローの言葉や生き様を通して「今」が見えてくると思います。『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』佐古忠彦監督【Director’s Interview Vol.37】

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「イデオロギー」や「政治」を超越した存在



Q:戦後の沖縄と言うと「沖縄独立論」を唱えてきた人々もいます。亀次郎さんの経験からすると、独立論でもおかしくないと個人的には思いますが日本復帰という考えは最初から一貫していたんでしょうか。


佐古:はい、そうですね。もと居たところに帰るのに何の不思議があるんだ、と。亀次郎さんは日記の中で「日本国民である沖縄県民」という表現をものすごく使うんです。沖縄を占領していた頃の米軍は、日本復帰という思いを断ち切らせたいから「君たちは日本人じゃないんだよ、琉球人だよ」ということを植え付けようとしたんです。だから「琉米親善」という言葉があったり、常に「琉球」という言葉を使っていました。ところが亀次郎の日記には「琉球政府ではなくて、沖縄県を早く作って、沖縄県庁を作って沖縄県知事選挙をして、そして衆議院議員の選挙をやって、早く国政に復帰しなければならない、国に戻らなければならない、日本国民として戻らなきゃいけない」と書いてあります。


当時、沖縄は返還前で沖縄県は存在していないのに「県民」という言葉をたくさん日記でも使っていて。さらに国のあり方みたいなものをすごく問うているし、自分が帰る祖国がどうあるべきかと考えている。




Q:話は変わりますが、今作は坂本龍一さんが前作に続いて音楽を担当されています。これはどんな経緯で?


佐古:「ニュース23」という番組を担当していた時に、坂本さんが作られた曲が番組のメインテーマだったんです。当時坂本さんがよく「ニュース23」にも出られたり、というご縁があって。坂本さんはとても沖縄に思いを持ってらっしゃる方だし、私が映画を作るにあたって思い切って相談してみたんです。坂本さんに、「カメジローというのをテレビで作りました」と切り出してみたら(※2016年にテレビ番組「米軍が最も恐れた男 ~あなたはカメジローを知っていますか?~」が制作され、2017年の映画化につながった)「あれ佐古さんが作ったのか!」と、番組をご覧になっていたんですね。そんなこともあって、前作の映画にテーマ曲を書いて頂きました。しかもテーマ曲には「Sacco」というタイトルを付けてくれました(笑)


Q:あの曲名は佐古さんのお名前が由来だったんですね(笑)


佐古:2作目もぜひ坂本さんにお願いしたかった。亀次郎の闘いのその先にあるもの、そこには希望も見えるような、そして後世への亀次郎さんのまなざしも感じられる、本当に素晴らしい曲を作って頂いて、本当に感激しましたね。




Q:最後に、この作品を見てもらいたい方々にメッセージをお願いします。


佐古:亀次郎さんと時代を共有した方はもちろん、次の世代の人たちにも是非見ていただきたいと思います。この作品を見ると、なぜ今のような状態があるのか。トランプ大統領が批判した安保条約の根源はどこにあったのか、なんとなくわかってくる。こういうことを言うと、すぐに「イデオロギーだ」とか「政治的だ」って言われてしまうんですが、実はそうじゃない。そういうものを超越した存在が沖縄という場所にいて、その男の生き様を通して沖縄を見ることで、私達の有り様を一度立ち止まって考えるきっかけになるんじゃないかと思います。歴史って一つ一つ点が散りばめられているけど、それを結ぶと本当に一本の線で結べる。その流れを感じ取ってもらえればと思います。




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監督:佐古忠彦

1988年:東京放送(TBS)入社

1996年~2006年:筑紫哲也NEWS23

2006年~2010年:政治部

2010年~2011年:Nスタ

2014年~2017年:報道LIVEあさチャン!サタデー Nスタニューズアイ

2013年~:報道の魂(現 JNNドキュメンタリー ザ・フォーカス)

     プロデューサー

近年の作品

2013年:「生きろ~戦場に残した伝言」

2014年:「生きろ~異色の司令官が伝えたこと」

     「茜雲の彼方へ~最後の特攻隊長の決断」

2015年:「戦後70年 千の証言スペシャル 戦場写真が語る沖縄戦・隠された真実」

2016年:報道の魂SP「米軍が最も恐れた男~あなたはカメジローを知っていますか」

2017年:映画『米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー』



取材・文: 稲垣哲也

TVディレクター。マンガや映画のクリエイターの妄執を描くドキュメンタリー企画の実現が個人的テーマ。過去に演出した番組には『劇画ゴッドファーザー マンガに革命を起こした男』(WOWOW)『たけし誕生 オイラの師匠と浅草』(NHK)『師弟物語~人生を変えた出会い~【田中将大×野村克也】』(NHK BSプレミアム)。




『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』

沖縄・桜坂劇場にて大ヒット公開中

渋谷・ユーロスペースほか全国順次大ヒット公開中

配給:彩プロ

(c)TBSテレビ

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