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  3. カメジローの言葉や生き様を通して「今」が見えてくると思います。『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』佐古忠彦監督【Director’s Interview Vol.37】
カメジローの言葉や生き様を通して「今」が見えてくると思います。『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』佐古忠彦監督【Director’s Interview Vol.37】

カメジローの言葉や生き様を通して「今」が見えてくると思います。『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』佐古忠彦監督【Director’s Interview Vol.37】


『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』は米軍占領下の沖縄で、人々の生活と誇りを守るため、闘い抜いた男の生涯を描いた、胸を熱くするドキュメンタリーだ。沖縄の日本復帰と民主化のために闘い続けた瀬長亀次郎。彼が残した230冊もの日記を基に描かれるその姿は、現代のわれわれに様々なことを問いかける。


実はこの作品は続編にあたる。前作は2017年公開、沖縄では1年以上ものロングランを記録した『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』。人物ドキュメンタリーとしては続編が制作されること(しかもここまで短期間のうちに)は大変珍しい。前作に続き監督は、かつてTBS「ニュース23」で10年間キャスターを務めた佐古忠彦。佐古氏に本作が制作された経緯と作品に込めた思いを聞いた。


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亀次郎を通して戦後史を見てみる



Q:本作は『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』(17)の続編にあたりますが、ドキュメンタリー映画でパート2というのは珍しいですね。


佐古:1作目をご覧いただいた方々から「家庭での顔」や「なぜこんな不屈な男になったのか」、もっと深く亀次郎を知りたいという声を頂きました。


また、1作目は亀次郎さんが那覇市長を追放されるところまでは詳しく描きましたが、その後沖縄が日本に復帰するまでの歴史を割と駆け足でお伝えしたこともあり、その空白を埋め、そこに亀次郎さんがどう関わり、どんな言葉を残していたのか、「人間・カメジロー」とともに改めて描きたいと思いました。それで改めて日記を読み始めたり、亀次郎さんの映像や音声をもう1回探してみたんです。すると前作の時には見つからなかったものが、だいぶ出てきたんです。




Q:40~50年以上前のものをよく探しだせましたね。


佐古:亀次郎さんの日記には取材に来た会社や記者の名前がちゃんと書かれていました。その中にラジオ東京の名前が登場するんです。ラジオ東京というのは TBS のことなんですね。大先輩の名前も日記に書かれていたりして「これはひょっとしたらあるかもしれない」とTBSラジオで検索してみたら出てきました。


さらに系列局の琉球放送でも歴史上の出来事に関する亀次郎の証言が新たに発見できたので、もう1回映画にしてみたいと。そして今回は角度を変えて、家庭の中での顔、パーソナルな部分も描こうという思いで制作をスタートさせました。


Q:そもそも前作で瀬長亀次郎さんを映画にしようと思ったきっかけは何だったんですか?


佐古:私がニュース23のキャスターを担当していた当時(1996~2006年)から沖縄は一番取材に通う場所ですが、普天間の問題などをニュースで伝える度に「沖縄がまた反対している」といった無理解な批判の声が本土側から上がったりしました。本土と沖縄の溝、という表現もありますが、その状況は今もどんどん悪くなるばかりですよね。


どうしてこういう状況になるのかと考えた時、恐らく沖縄の戦後史というものへの認識がすっぽり抜け落ちているんだろうなと思いました。戦後、平和国家になり、経済復興したこの国の成り立ちを考えた時、それは沖縄の軍事占領と引き換えなわけですよね。裏表なわけです。戦後史に何があったのか、その事実認識が共有できないと、真っ当な議論にもならないというのがずっと私の中にありました。


じゃあ戦後史をもう1回みようとした時、沖縄の戦後史に名前がよく出てくる亀次郎さんを通してみれば違った見え方ができるんじゃないかと。ただ亀次郎が主人公なんだけれども、その向こうには沖縄の人々の気持ちがあり、民衆がいるというところを伝えてみたかった。それが、亀次郎にアプローチしたきっかけですね。




Q:佐古さん自身が感じる亀次郎さんの魅力はどういうところですか?


佐古:亀次郎さんの人生は苦難の連続なんですが、常に先を見ることができる人でもあったんです。例えば逮捕され投獄されても、すぐに出獄した後に備えるわけです。例えば本をいっぱい取り寄せて勉強しまくるんです。獄中日記を書き始めるんですけど、その日記とはまた別に勉強した学習ノートがあって、領土問題とか資本論だとか、様々なものがバーッと書きまくられている。出獄した後はすぐに活動を始めるんですが、またすぐに追放されてしまう。でもまたその次に備えてどうするかと考えて実現していく。


先見性と、壁にぶちあたっても、へこたれないですぐ次に備える姿勢。その生き方が非常に魅力だったんですよね。そんな苦難を乗り越えたからこそ、日記に散りばめられている言葉にも強さと深みがある。その言葉も魅力の一つですね。



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