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少数精鋭、アナログ主義。TECARAT独自の制作スタイル『ごん GON, THE LITTLE FOX』メイキングvol.6

少数精鋭、アナログ主義。TECARAT独自の制作スタイル『ごん GON, THE LITTLE FOX』メイキングvol.6


少人数だから、本気でぶつかり合える



 『ごん』のスタッフは、TECARATのメンバーを中心に数人の外部スタッフを加えて構成されている。一時的に人数を増やすこともあるが、常時稼働しているのは6人ほど。25分の映像作品を作る人数としては異例の少なさだ。少人数だと制作に時間はかかってしまうが、それだけスタッフの関係性も密になる。それがストップモーションの撮影においては大きな利点になるそうだ。


 ストップモーションの撮影では、カメラ・照明・セット・アニメートの都合がギリギリまでせめぎ合う。実物の1/6ほどの狭い世界に、人間用のカメラと照明を入れるのだから(人形にとっては、カメラも照明も巨大だ)、しばしばスペースが足りなくなってしまう。なんとかセッティングを済ませたら、アニメーターが手を入れるスペースがどこにもなかったということもよくあるという。


 撮影が滞りなく進むよう、各パートの担当者はそれぞれの都合を密に相談する必要があるのだが、ここに少人数でやっている利点があると撮影監督※の能勢氏(TECARAT所属。過去2作、八代監督の短編作品に参加した)は言う。




能勢:「スタッフ同士に改まった関係があると、照明や美術との都合をつけるときお互いに遠慮しがちです。例えば、本当は人形のすぐそばにカメラを置いて狙いたいけど、アニメーターに遠慮して、少し離れたところにカメラを置くとか。そうしてどんどん譲りあってくと、遠慮した画、逃げた画になってしまう。少人数で密な関係でやっていると、お互いの考えがだいたいわかってくる。話し合いもしやすくなるし、ギリギリまで攻められるのが良いところです。」


 『ごん』の制作期間は約2年。長い時間をかけて培われた信頼関係があってこそ、お互いの意図を汲み取ることができるのだろう。特に能勢氏と八代監督は、言わなくても通じ合える“ツーカーの仲”という雰囲気だ。それを伝えると能勢氏は笑って言った。


 「いや、監督とは年がら年中ケンカしてる(笑)でも妥協して落とし所を見つけるためじゃなく、双方納得がいく高いところを探りあうための戦いをしてます。」


 作品と本気で向き合う、少数だが精鋭揃いのスタッフ達が、八代監督の作品づくりを支えている。


※撮影と照明を担い、画面に映る映像全てに於いて責任を負う人物。欧米ではDP=Director of photographyと呼ばれる。



-Next-

名作ごんぎつねに新しい解釈ーー兵十を惑わしたものは何だったのか『ごん GON, THE LITTLE FOX』メイキングvol.7

日本人なら誰もが知る名作「ごんぎつね」。幼いころ、その結末に衝撃を受けた人は多いはずだ。原作をリスペクトしつつ、いくつかの新しい解釈を加えストーリーを作っていった。脚本に込められた想いを語る。


vol.5はこちらから

制約を強みに変える。命吹き込むアニメート



取材・文: 池浦 蓮介

1988年生まれ、東京都出身。

高校生の時に観た『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』をきっかけに、ストップモーションアニメの世界にのめり込む。

大学卒業後、映像制作業のフリーランスとして活動中。



『ごん GON, THE LITTLE FOX』 

(新美南吉「ごんぎつね」原作)

2019年秋公開予定 上映時間:28分

制作・著作:太陽企画/エクスプローラーズ ジャパン

公式サイト: http://gon-project.com/ 

公式twitter: https://twitter.com/gon_tecarat

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