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『アンタッチャブル』キャリアの再起をかけた3人が邂逅した、ギャング映画の傑作

(c)Photofest / Getty Images

『アンタッチャブル』キャリアの再起をかけた3人が邂逅した、ギャング映画の傑作

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エリオット・ネスの候補だったドン・ジョンソン



 ケヴィン・コスナーが演じた主人公エリオット・ネス役には、当初ドン・ジョンソンが想定されていた。当時のジョンソンは、1984年に放送開始となったテレビドラマ「特捜刑事マイアミ・バイス」のソニー・クロケット役で社会現象となるほどの人気を博していた時期。その人気は、彼が羽織る白いジャケットのバッタもんが、ショッピングモールの男性衣料品売場を占拠し、彼の無精髭を真似る若者が増えたため、無精髭の状態に剃れる髭剃り機が売り出されたほどだった。


 デ・パルマもドン・ジョンソンの起用には賛成で、『ボディ・ダブル』のヒロインを演じたメラニー・グリフィスとジョンソンは元婚姻関係にあったという縁まである(二人は1977年に離婚しているが、1989年に再婚している)。


「特捜刑事マイアミ・バイス」予告


 そしてドン・ジョンソンの起用は、ジョルジオ・アルマーニの推薦だったと言われている。「特捜刑事マイアミ・バイス」の中でアルマーニのスーツを着用していたジョンソンを、アルマーニは「我が女神(ミューズ)」と讃えていたからだ。『アンタッチャブル』の衣装をジョルジオ・アルマーニが担当している理由には、そのような経緯が影響している。


 当時のフィルム事情から、スーツの黒い質感を表現しにくかったことを知ったアルマーニは、生地そのものに質感のある素材を、黒めの衣装に採用した。これは映像からも窺うことができる。そもそもこの映画は、1930年代のギャング映画に敬意を表すため、モノクロでの撮影が検討されていたほどなのだ。


 『アンタッチャブル』の監督を引き受けることになったブライアン・デ・パルマは、「観客動員を見込めるキャスト」という視点でエリオット・ネス役を探すため、ドン・ジョンソンのほかにも様々なスターと面談している。


 候補となった中でも、キャリアの分かれ目になったひとりがメル・ギブソン。彼はネス役に興味を示し、デ・パルマもメルの起用に前向きだった。ところが、撮影スケジュールが合わないという理由で、メル・ギブソンは降板。『アンタッチャブル』と同じ1986年8月に撮影されたその作品は、『リーサル・ウェポン』(87)というメルの代表作になることとなる。



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